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クライマーズ・ハイ (2005)

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4.63 / 評価:161件

横山作品の本質と本作品の高評価は無関係

  • jet***** さん
  • 2016年5月9日 4時56分
  • 閲覧数 632
  • 役立ち度 2
    • 総合評価
    • ★★★★★

山崎豊子、横溝正史と並んで好きな作家である横山秀夫のベストセラー小説の作品とあって遅まきながら鑑賞しました。

半落ち、震度0、ルパンの消息、臨場、64と他の横山作品と並んで映画版を先に鑑賞しての本作鑑賞です。
本作は元々映画版より先に制作された事もあってか、驚異的に高評価が並び自ずと期待感が上がりました。

ところが本作の高評価と映画版の微妙な評価の差に違和感を感じました。

本作はNHK制作と言う事もあり原作を忠実に映像化しているので、映画版では省かれた登場人物やストーリーも小説そのまま登場します。

映画版の「墜落原因の真相追及」に特化した作りに対して、本作は「報道の在り方」と「命の重さとその差」の2つを軸に制作されている気がします。

役者陣は顔ぶれを見て頂ければお解りの様に盤石の出演陣です。
が、ある意味で定番で”適材適所の安全パイ”とも言え映画版の”灰汁の強さ”は弱いです。
当然、演技も演出も安心して観ていられる安定感は言う事無しです。

脚本と演出も原作の世界観を壊す事無く実直に作成されているので、悠木の生活背景や心情の変化、映画では登場しない望月亮太と彩子のストーリーとラストに向かう展開、作品の全体的な流れは小説そのままです。

ところが、その演出が微妙で違和感を感じる部分があります。

まず赤井演じる安西ですが、関西出身の赤井が役とは言え関西弁のイントネーションで「~さ」と妙な標準語を遣っているのは気持ち悪すぎます。

次に望月亮汰の死が悠木の気持ちに重い影を落とす原作なのに、その”心の足かせ”を描いているのは冒頭と彩子が登場する後半のみで途中の部分ではその心情が何も描かれていません。

そして、せっかく望月彩子を登場させ”命の重さ”のメッセージを植え付けたのに、コラムの掲載で苦情が殺到した責任を取って左遷された悠木と強引に掲載依頼したにも関わらず、その事を悔やんで悠木に詫び記者になる事を宣告する彩子で留まっていて彩子に対する嫌悪感が出てしまい実に気持ちが悪いです。
変にお涙頂戴の安っぽい展開にせず、彩子のその後の展開と活躍を簡単にでも描いた方が気持ち良かったのではないでしょうか。

映画版は、原作の「日航機墜落の原因追及」に焦点を当て省ける所は省きつつ原作の軸である横山秀夫の実体験を上手く取り入れた作風となっているので、同じ原作を基に作られてはいますが、本作とは着地点の違う作風になっています。

総評としては映画より本作の方が高評価ですが、レビューの絶対数が違うのと鑑賞した対象の世代層が本作は限られている事から比較にはならないと思います。

テレビドラマとしては悪くは無いと思いますが、上記の理由により原作に忠実に作れば全て良しと言う訳では無いと思うのでこの高評価はちょっと流され過ぎな気がします。

なので個人的には、映画作品としては映画版の方がメッセージ性も強く作品としても良くまとまっていて好きです。

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