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美しき運命の傷痕 (2005)

L' ENFER/HELL

監督
ダニス・タノヴィッチ
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3.63 / 評価:49件

解説

巨匠クシシュトフ・キェシロフスキの遺稿3部作の第2章「地獄」を、『ノーマンズ・ランド』でアカデミー外国語映画賞を受賞した新鋭ダニス・タノヴィッチ監督が映画化。幼い頃の経験からトラウマを抱え成長した3姉妹が、苦しみながらも力強く生きぬく姿を描く。出演はエマニュエル・ベアール、カリン・ヴィアール、マリー・ジラン、キャロル・ブーケらヨーロッパ屈指の名優たちが勢ぞろい。長編2作目とは思えない監督の巧みな演出が光る。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

22年前に父親を失い、それぞれに問題を抱えている3姉妹。長女ソフィ(エマニュエル・ベアール)は夫の浮気を疑い、恋人のいない次女セリーヌ(カリン・ヴィアール)は母親の世話を引き受け、三女アンヌ(マリー・ジラン)は大学教授と不倫を続けていた。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

「美しき運命の傷痕」緻密な構成で絡み合う偶然と運命

 映画の原案は、生前のキェシロフスキがダンテの「神曲」をモチーフにして書いた3部作の第2章「地獄」だが、タノビッチ監督は、"偶然と運命"という巨匠のテーマを継承しつつ、豊かな想像力と緻密な構成力でこの遺稿を脚色し、題材を完全に自分のものにしている。

 3姉妹は、父親を奪い、家族を崩壊させた過去の悲劇に呪縛されている。彼女たちは地獄を彷徨い、その底には、悲劇を招いた母親がいる。長女のソフィと3女のアンヌは、自分たちが見出した愛にすがり、過去から逃れようとするが、あがけばあがくほど、地獄の底に引き込まれていく。ソフィは、かつての母親と同じ立場に立たされ、アンヌは、過去の悲劇の遠因を作った父親の教え子セバスチャンの行為を、何も知らずに反復してしまう。一方、ひとりで母親と過去を背負う孤独な次女セリーヌは、相手の正体も知らずに、成長したセバスチャンに引き寄せられていく。

 そんな3姉妹の物語はもちろん、過去の単なる繰り返しでは終わらない。偶然と運命が複雑に入り組むドラマのなかで、それぞれの立場は様々に転倒していく。彼女たちは、以前とは異なる立場から過去と向き合い、ラストでは地獄の底にささやかな希望が芽生えるのだ。(大場正明)

映画.com(外部リンク)

2006年4月13日 更新

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