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イカとクジラ (2005)

THE SQUID AND THE WHALE

監督
ノア・バームバック
  • みたいムービー 214
  • みたログ 992

3.39 / 評価:212件

あんなに怖かったものはいつか怖くなくなる

  • eobm123 さん
  • 2008年6月21日 2時49分
  • 閲覧数 301
  • 役立ち度 8
    • 総合評価
    • ★★★★★

夜中にうわあ、と叫びたくなるようなそんな小さい頃の痛々しい空回り。思い出すとどうしてあんなに辛かったんだろう、それでもやっぱり辛かった、10代のあれこれ。この映画が扱うのは両親の離婚というだいぶ深刻なことだけども、そこまでいかなくてもきつい記憶ってのはみんなにあるはず。これは、そのきつさをどうやって乗り越えるか、や、乗り越えるというよりも、自分のものとして馴染ませるか。ということがとても細かに描きこまていて味わい深い映画だった。

 家族の噛み合わないテニスのラリーから映画が始まる。早くに前衛的な小説が評価されたが書けなくなって大学で教える父親と、対して作品が「ニューヨーカー」にまで掲載されるほど小説家として成功した母親と。父親は自分を呪うように子供の前でもcurse wordを吐き続け、歪んだ世間の評価を息子に垂れ流す。(あんなやつ対したことないだろ。俺みたいに博士号持ってない、とか)

その不穏さのまま両親が別居すると母も父親と全く違うタイプとばかりそうとう浮気をしていたことが分かり、夫婦の取り決めでいったりきたりを始める二人の息子たちもそれぞれバランスを崩していく。兄はピンクフロイドのうたを盗作してコンテストで弾き語り。弟はアルコールをくらうわオナニーして学校で好きな子のロッカーに出たもんをなすりつけるわ。この息子たちの行動がおかしくもあり、むずがゆくもあり。ここで家族全員が性的なものに捕らわれているようにでなくても、大人になれなくて/早く大人になりたくて/誉められたくて/よくわからないけどむしゃくしゃして/なんか痛々しい行動ってものをやったことがある。これを知ってる、という気分になるのは、丁寧な脚本の力だろう。

タイトルの「イカとクジラ」は兄が小さい頃に自然史博物館でみた、クジラと巨大イカの格闘からとられている。セラピストに語られる、博物館へ行った日の記憶ー怖くて展示を正視できなかったけど、家に帰ってお風呂で母とどんなだったかおさらいした、怖かったけどもう昼間に見たときほど怖くなかったんだ、ということば。

 距離と時間をへだてて、あんなに怖かったものもいつか怖くなくなる。怖くなくなって、それとも自分がほかの人にとって怖くなって、おとなになる。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 泣ける
  • コミカル
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