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イカとクジラ (2005)

THE SQUID AND THE WHALE

監督
ノア・バームバック
  • みたいムービー 216
  • みたログ 994

3.39 / 評価:213件

アントニオーニとベルイマンの遺伝子。

  • noh******** さん
  • 2009年9月5日 16時04分
  • 閲覧数 321
  • 役立ち度 1
    • 総合評価
    • ★★★★★

ノア・バームバック監督っていうのか。初めて聞く名前。製作にウェス・アンダーソン監督の名前があったので気に入るだろうと思ってたけど、だいすきになった。タイトルも無愛想で滑稽ですきだし、音楽もすき。特に、ノア監督が幕間と称していた、80年代の大ヒットポップ・チューンのキリエを、小さな女の子が独唱し、全く原曲とは対極の静かなものに一変させているのには驚いた。黄色を青に変えるくらいの変貌。アレンジの力ってすごい。そして、このキリエの印象がこの映画全体の印象。

一家の離婚周辺を描いているだけなのだけれど、なんだか、わたし自身のいやな部分を見せられている感じがして(笑)。相手よりも優位に立ちたいとか、少しでも自分へのダメージを少なくしたいとかを計算して動いてしまう卑小さって、たいていの人間には多かれ少なかれある気がする。少なくともわたしには、恥ずかしながらそういう部分がたっぷりある。だから、登場人物それぞれに、やっかいないやな部分があるのに、なんか憎めない。そこが、チャーミングにさえ見えてしまう。だからか、わたしには兄弟もいないし、両親も自分も離婚していないし、共通項はぜんぜんないんだけれど、ちょっと他人には思えなかった。

家族は、パパ組ママ組にわかれている。断然わたしはママ組。パパは鼻持ちならないし、ウォルトの尊大な態度もいけすかない。その点、液体をロッカーや図書室の書架にこすりつけるのはいただけないけど、フランクが一番じぶんのきもちに素直でかわいい。見た目も、パパ、ママ、ウォルト、テニスコーチ、ウォルトのガールフレンドはイマイチだけど、フランクだけかわいい(笑)。全員地味。予算もかなり少なかったみたい。

この作品で、ノア監督がお気に入りに入ったのだけれど、監督の作品解説により、なるほど、わたしがノア監督を気に入る訳だ、と納得した。ノア監督が影響を受けてきたものがそっくりそのままわたしが影響を受けてきたもので、世代もかなり近い。カサヴェテス、ジャームッシュを見て育った人が、もう監督として登場してきていることに、少し驚き、小躍りしてしまう。そして、アントニオーニ監督とベルイマン監督の影響も受けていて、という話を聞いたばかりで立て続けに2人の巨匠の訃報を聞いた。カサヴェテス監督ももういない。でも、救いは、彼らの作品で育ってきたひとが、こうやって映画監督という職業につき、すばらしい作品を撮っていってくれるということ。メインストリームではないけれど、でも、支流の小さな流れもちゃんと途絶えずに脈々と続いていってくれていることが嬉しい。

この映画のラストはぶつっと終わる。でも、その感じがぜんぜんいやな感じではない。そして、全編流れるヘイ・ユーがとても素晴らしい。名曲のかたわらには名画がある。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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