5.0点
…あらすじは、解説のとおり。 オープニングの、出演者の男女8人の若者が観客の居ないステージ向けて、『Seasons of Love』を歌うシーンから今後の展開に期待大だった。 しかし、何だかな~。 登場人物の皆みんなが、ドラッグやら、ゲイやら、おまけにエイズまで患らってりゃ世話ないや。 そりゃぁ、自業自得というもんでしょ。 おまけに、部屋は神がくれたもんだから家賃は払わなくていいなんていう道理は、悪魔だって許さないぜ。 なんて思いながら観ていると、オカマのエンジェルちゃんが登場して、クルリン踊りまくっての見事なバチ捌き。 自分もエイズを患っているというのに、明るくて朗らかで前向きで、観ているコチトラまでを幸せにしてくれるほどにキュートでラブリーだった。 これ以降はもう、『RENT レント』の世界観にドップリと浸れる。 オープニングの『Seasons of Love』という歌は、1年を漫然と生きるのではなく、1分1分のその瞬間を、52万5600回生きるということだったのだ。 次のようなセリフもあった。 『No Day but Today』=『未来も過去もない。あるのは、今日という日だけだ』 未来の見えない彼らにとっては、今の一瞬一瞬を精一杯生きることによって未来に繋げるしか術はなかったのだ。 そのことを、切なくも儚くもエンジェルが身を持ってして示していたのだった(ミミの奇蹟の復活も含めて……)。 エンジェルを偲んでコリンズが歌うシーンでは目頭が熱くなってしまった。 元来、ミュージカルものはあまり得手ではなかったが、観終わった後は、彼らの真摯で一途な愛の在り様、仲間意識、生き様に勇気のようなものを貰える作品となった。 なお、本作品の原作・作詞・作曲・脚本を手がけたジョナサン・ラーソン本人は、7年の歳月をかけて本作を書き上げたが、その開幕を目前にしたプレビュー公演初日の1996年1月、マルファン症候群に起因する胸部大動脈瘤破裂によって35歳の若さで急死した(ウィキより)。 本作品と同様に、『Thank you Jonathan Lason』と呟いて、瞑目することとする。