レビュー一覧に戻る
RENT/レント
2006年4月29日公開

RENT/レント

RENT

1352006年4月29日公開

rai********

4.0

音楽はやはり素晴らしいが、物語は暗い

レントの舞台を見たのは、10年以上前。ストーリーはよくわからなかったが、音楽は楽しめた記憶がある。それで数年前、NYのオフブロードウェイで再び見た。やはり音楽は良いなと思って、それ以来サントラはかなり聴いてきた。 で、下敷きとなっている19世紀フランスの連作小説『ラ・ボエーム』日本語訳を読んだので、映画を初めて通しでチェックした。   原作の連作小説同様、ユーモアに富んだ軽妙なやり取り。もちろん19世紀パリと1989~1990年のグリニッジ・ビレッジという違いはある。フランスの原作で家賃の取り立てを行う大家さんは、今作では旧友ベニーとなっており、街区を一掃してキラキラに開発するジェントリフィケーションの象徴として描かれている。 このように現代アメリカの都市開発をめぐる対立の構図がさりげなく埋め込まれている。日本バブル崩壊寸前のニューヨークと言えば、急速に治安が改善していった時期だ。だからこのころを最後に、こういう悲劇も減っていったはず。とは言え、地価高騰で家賃が払えなかったりホームレスになったりする人は、いまだにいる、というかコロナでむしろ深刻化している。 主人公の映像作家マークは(私も厚切りジェイソン氏を思い出した)、気が多い元彼女モーリーンに未練タラタラで、モーリーンのライブ準備に駆り出される。モーリーンの都市開発への抗議ライブは、クレイジー。レミゼやGleeやレリゴーでおなじみのイディーナ・メンツェルがすっかりはじけていて、幅の広さにびっくり! 舞台と違って、ニューヨークの風景も描かれるのが映画ならでは。地下鉄車内での手すりポールダンス?とか楽しい。 原作ではコレラ、本作ではHIV、それぞれ人類は克服してきた……と思いきや今のコロナウイルス。特に貧困層への影響を考えると、鬱々としてくる。しばらくして、願わくば世界がもう少し明るくなってから見た方がよいかもしれない。あるいはストーリーに興味がわかない方は、サントラだけ聴いてみるのもおすすめ。 でもやはり今作のメッセージは、No day but today, つまり<将来も過去もない、あるのは今だけ。後悔や心配ばかりしていては、今日という日すら失ってしまうよ>という、まっとうで素晴らしいもの。あまり難しく考えず、とにかく今日を生きよう!

閲覧数853