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花よりもなほ
2006年6月3日公開

花よりもなほ

1272006年6月3日公開

Barca2009

3.0

ネタバレ最後まで観てほしい

是枝監督作品を時系列で鑑賞。 この作品だけなぜかずっと配信になく、なかなか放送もない、埋もれているので、しかたなくTSUTAYA宅配でレンタル。 「誰も知らない」の次が時代劇、是枝監督が時代劇好きで、 原案も脚本も手掛け、好きなようにやった感のある映画だった。 これまでと違い、顔なじみのある脇役陣に、トップクラスの岡田准一と宮沢りえを起用。これだけの顔ぶれで、結構地味な市井の人情劇を元禄の世で描く痛快さはこの監督ならではだと思う。なかなか面白いオリジナルストーリーだった。 確かについていけないと、ただつまらないとなる典型の映画である。序盤はどこに向かうかわからず、脇役陣の芝居や今より若いなあとか…という感想が先に来てしまったが、中盤から仇討ちを軸に赤穂浪士の潜伏と未亡人(宮沢りえ)の死んだ夫を仇討ちするお芝居があったり、宗左衛門の敵撃ちはどうなるのか、とても面白かった。 どなたかが言うように、是枝監督が描きたかったのは、仇討ちの愚かさそのものではなくて、武士の誇りなどという空虚なものをより、生命力に溢れた、たくましい、生き生きとした長屋の住人たちの生き方の方ではないでしょうか。 この時代みんな字が書けないし、読めない。代書という手紙など書く商売が 出てくるが、故郷の母の同じ手紙を読んでもらうために訪れる客がいたり、 父の「似顔絵」が仇討ち用の手配書に気付いていない進之助が切なかった。 また、クソ話が頻発し、下品な話は大人には面白くないなあ、と思ったかもしれない。当時の街中の糞尿問題はまさに日常のストレスだったこと、肥溜めに落ち、匂いは充満する中で暮らす人たちをリアルに描く視点が素晴らしかった。 元禄時代の貧乏長屋の暮らし、子供時代の長屋を思い出す。何とか自分にはじんわり伝わる。今の若い子たちには本当にわからないだろうな。 採点:3.4

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