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花よりもなほ (2006)

監督
是枝裕和
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3.53 / 評価:531件

解説

父の仇を討つために東京・深川の貧乏長屋に住み着いた田舎侍が繰り広げる、笑いあり、涙ありの人情時代劇。監督は『誰も知らない』でカンヌ映画祭最優秀男優賞を主演の柳楽優弥にもたらした是枝裕和監督が務める。個性豊かな住人と触れ合ううちに仇討ちの使命に葛藤(かっとう)しだす主人公にV6の岡田准一、ヒロインに『たそがれ清兵衛』の宮沢りえがふんする。人々のたくましい生の物語を現代にも通じるテーマ性と絡めた、人間味あふれるドラマが感動を呼ぶ。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

仇討ちに藩が賞金を出していた元禄十五年に、田舎侍の宗左衛門(岡田准一)は、父の仇討ちのために江戸に出てくる。しかし、剣の腕がからきし立たない宗左衛門は、貧しいながらも人情味あふれる長屋で暮らす間に、仇討ちをしない人生もあることに気づかされる。宗左衛門は、仇討ちに対して疑問を抱き始めるが…。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)2005「花よりもなほ」フィルムパートナーズ
(C)2005「花よりもなほ」フィルムパートナーズ

「花よりもなほ」「誰も知らない」の監督が挑む人情時代劇

 意外とも思える是枝監督の初時代劇だが、もともと時代劇好きで、大学の卒論は時代劇の脚本論だったとか。それがテレビ制作会社に入ってドキュメンタリーの世界へ入り、劇映画を作る前にまず、生身の人間を知ることの大切さを知ったという。そして長編5作目で辿り着いた時代劇。寄り道は無駄ではなかったのではないか。長屋の個性的な人間が多数登場するこの人情喜劇において、1人も埋もれてしまうことなく、キャラクターが生きている。

 仇討ちのために江戸に来たはずの宗左衛門(岡田准一)だったが、ひょうひょうと生きる貞四郎(古田新太)、何度も切腹を試みるが死にきれない次郎左衛門、そして美人未亡人(宮沢りえ)らと出会い、心境に変化が現れる。決して裕福ではないが、明るく、前向きに、逞しく生きる住人たち。是枝監督は、前作「誰も知らない」の後だったので明るい映画を撮りたかったそうだが、人間を捕らえる視線の優しさや、この映画を見た後に感じる温かさは、是枝監督の長年の人物観察で辿り着いた末の人間賛歌なのだろう。

 正直、これだけ上手い役者を揃えたのはズルいとも思うのだが、彼らのバランスを巧みにとったのは監督の手腕。時代劇という新しい試みに挑んだ志と共に評価したい。(中山治美)

映画.com(外部リンク)

2006年6月1日 更新

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