レビュー一覧に戻る
レイヤー・ケーキ
2006年7月1日公開

レイヤー・ケーキ

LAYER CAKE

1052006年7月1日公開

Dr.Hawk

4.0

ネタバレ最高層にしか未来も顔も名前もない

2017.01.09 字幕 DVDレンタル J・J・コノリー原作の同名小説の映画化作品 名もなきドラッグ売人の主人公が、押し付けられた依頼に翻弄されるクライム・サスペンス 監督はマシュー・ボーン(『キングスマン』) 主人公「XXXX」役にダニエル・クレイグ 引退を決意していた「XXXX」はある日、ドラッグの元締めジミー(ケネス・クラナム)から依頼を受ける それは裏社会のボス・エディ(マイケル・ガンボン)の娘チャーリー(ナタリー・ルンギ)を探し出すことと、デューク(ジェイミー・フォアマン)が入手したMDMAを売り捌くことだった 人探しは専門外だった彼は手下であるモーティ(ジョージ・ハリス)、クラーキー(トム・ハーディ)、テリー(テイマー・ハッサン)に指示を出しチャーリーを探させる それと同時にMDMAの交渉に出向くが、デュークとは折り合いがつかずに交渉は決裂する デュークと接近したことで仲間と思われた「XXXX」 デュークが入手したMDMAは、部下のガザ(バーン・ゴーマン)と一緒にセルビア人のスラヴォ(マーセル・ユーレス)から盗み出したものだった 「XXXX」はヤバイ案件と察知し仕事を降りることをジミーに告げるが相手にされず、人探しに部下を使っていることも知られていた 「XXXX」の行動を監視する役目としてジーン(コルム・ミーニイ)がいて、彼はジミーとは旧知の仲だった エディから依頼の真相を聞いた「XXXX」はジミーへの報復を決行し、それがジーンの怒りを買うが、証拠の音声録音が「XXXX」を救うことになる 物語は二転三転し、引退するはずだった「XXXX」はどっぷりと沼にハマることになる エディが彼に諭すように「この世界はレイヤーケーキ(階層世界)で高みに昇れば(今の)辛さは忘れる」と言う これはエディが彼を見込んで、空いたジミーの席に座らないかと誘うのだが、彼は「計画通り」に引退する 階層世界の中の名簿に載りたくない彼 だが、最後はシドニー(劇中で恋仲になったタミーの彼氏)によって違った名簿に載る運命を辿る この映画のタイトルクレジットは「L4YER CAKE」となっていて、この映画における階層は「4」であることを示している 最下層 デューク 第2層 XXXX 第3層 ジミー 最高層 エディ XXXXはエディにひとつ上の階層の椅子を用意されたがそれを蹴り、この世界からの退場を余儀なくされた 行く行くはエディの位置に来ると見込まれていたが、第3層に上がる権利を持ちながらそれを行使しなかった タイトルクレジットの「CAKE」の「E」は「3」を裏返しており、それはこの「階層社会」から退場した「XXXX」の末路を示している 第3層と最高層は表の世界で「顔」を持つし「名」もある 「XXXX」が第3層に上がれば必然的に「表」の顔を持つことになるが、彼は「裏」のまま「3」にもなれずに人生を降りている 実に洒落たクレジットである 映画としてはイギリス映画独特のスタイリッシュな構成とカメラワークが冴え、その反面登場人物が多岐に渡り混乱しかねないほど緻密である 相当真剣に観ないと展開に置いて行かれる映画であり、万人受けする映画ではない それでも完成度は高く、DVD視聴で繰り返し観れば本当の物語はスッと入ってくるものだ 裏社会の物語ではあるが、表裏にはそれほど差はない 表と言われる世界にも階層は存在し、それは「実力」だけに留まらない壁である そこに組み込まれたならどのように抗うのか? それを考える意味では面白い素材だと思う

閲覧数1,650