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ラストデイズ (2005)

LAST DAYS

監督
ガス・ヴァン・サント
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2.88 / 評価:164件

ニルヴァーナへと通じる階段

  • kenken さん
  • 2014年6月2日 13時44分
  • 役立ち度 4
    • 総合評価
    • ★★★★★

カート・コバーンの死に至るまでの最後の日々とニルヴァーナへと通じる階段。


カンヌでパルム・ドールと監督賞を受賞した傑作"エレファント"の2年後の2005年に公開されたガス・ヴァン・サントのいわゆる"死の三部作(Death Trilogy)"の最後の作品になる。

1994年に自ら命を絶ったニルヴァーナのカート・コバーンの死に至るまでの"最後の日々"を描く。

ヴァン・サントのお馴染みの4:3 の画面に映し出された若い男が森の中を彷徨う場面から映画は始まる。

この映画がカート・コバーンの衝撃的な最後を扱ったものだとの幾ばくかの知識を持ち映画を観始めた観客は、この夢遊病患者のような若者がどのように最後に自らの頭をショットガンで打ち抜くに至るのかと、不安と、それでもどこかこの様子では仕方がないと、諦めにも似た気持ちでそっとため息をつく。

ただ、もしかしたらニルヴァーナの激しい音楽と全盛期のステージの熱狂などから映画を始めるような致命的な間違いをまさかガス・ヴァン・サントほどのものが犯しはしなかったことにどこか安堵の気持ちも持つ。

実はこの冒頭の奇妙な静けさのようなものが、この映画の全編を通しての肝でもあり、この数多の憶測と誤解と論争を巻き起こしたカート・コバーンの死を単なる頂点に上り詰めた稀代の若き天才ロックスターの転落として興味本位の喧騒の中で描くことはしない、との強い意志の表れでもある。

成程、ぶつぶつと聞き取れない独り言を言いながら女装(!)をしたマイケル・ピット演じるブレイク(カート・コバーン)がライフル(!)を持ちながら屋敷の中をうろつく様子は、痛々しくもありながら一方で滑稽でもり、電話帳のイエローページのセールスマンやモルモン教の勧誘など次々と森の中の一軒家を訪れる訪問者に意外にもまともに応対するさまは笑いさえ誘う。

ただ、やはり間違いなく映画は悲劇の結末へとその時間を進め、マイケル・ピットが自ら作り、アコースティックギターで劇中歌う"Death to Birth"はまさに"死から誕生までの長く孤独な旅"を歌い、ピットの鬼気迫るカート・コバーン振りとともに"最後の時"を暗く暗示する。自ら命を絶つことを選択したブレイク、いや、カート・コバーンに、それでも安らぎの時は訪れるのだろうか。

離れの小屋の床に倒れたコバーンの体から裸の男が遊離し、階段を上るように消えて行く。そう、それはコバーンがバンドに名付けた、死ぬことも、痛みも病もない、安全で、幸福で、静寂な場所であるニルヴァーナへと通じる階段だった。

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物語
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