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ゆれる
2006年7月8日公開

ゆれる

1192006年7月8日公開

koume1532

4.0

ネタバレ俳優陣の力量。

犯罪がからんだヒューマン・ミステリー。 舞台の早川家は父の勇(伊武雅刀)、長男の稔(香川照之)、次男の猛(オダギリジョー)で構成されている。 稔は、真面目で勤勉な孝行息子、猛は都会で成功した自由人で、奔放に生きている。 そんな家族が、母の一周忌で久しぶりに再会。 そこで事件(事故)が起きる。 兄妹の幼馴染で、猛の元カノの智恵子(真木よう子)が、つり橋から転落死してしまうのだ。 その時、つり橋に一緒にいたのは稔と智恵子だけ。 そして、離れた所から目撃していた猛。 これは事故なのか、故意なのか裁判に発展する。 稔の供述も、猛の証言もコロコロ変わる。 果たして裁判の行方は・・?と言ったストーリーだが、この作品は法廷物でもサスペンス物でもないので、思ったほどドキドキしたりしない。 兄弟の愛憎を裁判と共に見せる手法だ。 1回目の視聴では、正直 展開が緩くて長く、大した山場もなくツマラナイ・・と思ったのだが、二度目の視聴では俳優陣の細部の表現力が素晴らしいと感じた。 特に拘置所の面会シーンでは、お互いの本音が見え隠れする。 弟の事は好きだが、妬ましく思っていただろう兄、面倒だが自己保身から助けなければ・・と思う弟。 お互いの心の葛藤や、蓄積したわだかまり、屈折した心理描写など、下手な役者さんでは世界観が壊れてしまう。 癖のある役柄が多い香川さん。 本作では35才独身、真面目でオクテな青年を ごく自然に演じている。←まぁ35才には見えなかったが。 『半澤直樹』での自信に満ちた態度や恫喝、顔芸などは鳴りを潜め、役になり切っている。 対する弟役のオダギリさん。 瞬時に智恵子と稔の話している姿を見て、稔の気持ちを見抜き、その夜 智恵子と関係を持つ いやらしさや、抜け目ない猛をサラッと演じている。 勇のある言葉で、”稔と智恵子の間に何かあったのかもしれない”と感じたのであろう猛。 稔に不利な証言をした事で、兄は7年の実刑判決を受ける事に。 また、弟の裏切りを甘んじて受け入れる稔も、父と家業から解放されて、心の平安を得る事ができたのかもしれない・・そんな事を想像させるエンディングでした。 『ゆれる』と言うタイトルに秘められた、感情の揺れ、裁判の揺れ、つり橋の揺れ・・とまさに言いえて妙なタイトルだと思う。

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