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名探偵コナン 探偵たちの鎮魂歌(レクイエム)
2006年4月15日公開

名探偵コナン 探偵たちの鎮魂歌(レクイエム)

1112006年4月15日公開

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3.0

犯人とのラストの対峙は必見!

本作は記念すべき劇場版名探偵コナン第10作目。制限時間以内に事件を解決しないと自分だけでなく大切な人も一緒に殺されてしまうという、ちょっぴりベタなシナリオではあるけれどそこから深く掘り下げた探偵の姿には素晴らしい潔さがありました。多くの名探偵コナン作品ではラブコメやアクション、推理が作品の三本柱となっています。あまり深く描かれない事が多い犯人の動機や憎しみが、本作では強くストーリーに組み込まれていたところは、物語に深みを与えており良かったと思います。 現実を受け入れられない犯人に対してコナンが語った言葉には、体が小さくされ好きな人にも正体を開かせないコナンのいたたまれない思いが重なり、強い説得力と貫禄がありました。ミステリー、サスペンスものでは主人公やヒロインが犯人に共感や感情移入をすることが多いですが、名探偵コナンではどんな状況でも殺人者として犯人を突き放します。どこまで共感や感情移入をさせようという展開に持ってきたとしてもキッパリと突き放すコナンの姿には探偵としての格好良さが秘められており、ラストには10周年の集大成に相応しいセリフを放ってくれました。「あなたは、最低な人間ですよ。」 10周年記念ということでオールキャストが登場します(黒の組織など、登場しないキャラもいますが)。それぞれのキャラクターの持ち味やキャラクター像をそのままに、深く掘り下げたりキャラクターらしさを強調するところにはなんとも言えぬ豪華さがあり、コナンの世界観を丸ごと収めたような世界観は必見です。主要キャラのラブコメや友情、ライバル感だけでなく、ラストに阿笠博士や目暮警部がとった行動や、妃英理(毛利小五郎の別居中の妻)の、弱気になった夫に対して放った言葉、毛利小五郎と目暮警部の信頼関係など、映画ではあまり丁寧に描かれないキャラクターを深く掘り下げていたのには、さすが10周年!と感じました。見応えのあるキャラクターの描写には引き込まれるものがありました。シリーズものだからこそ出来る演出ですね。ちょっと大人向けな演出が多かったように感じます。 しかし映像がイマイチな完成度で、テレビアニメに毛が生えたレベルでしかなかったのには残念でなりません。アクションシーンも盛り上げることができずに終わってしまい、映画ならではの迫力がありませんでした。せっかく豪華さが際立った映画だけに拍子抜けしてしまいました。 ストーリーもオールキャスト登場ということもあってか、全体的に見ると少々無理のある展開となっていました。取って付けたような引ったくりやジェットコースターを始め、全体的にまとまりがないように感じました。どうせならコナンや平次らの謎解きと、犯人の内面をもっと深く複雑に描くか、オールキャスト勢揃いのお祭り騒ぎを大きくするかのどちらか一方に絞った方が作品としての完成度は上がったように感じます。 星3つ、映画としての盛り上がりはやや薄いですが、作り手の情熱は強く伝わってきます。

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