武士の一分(いちぶん)
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4.0点
一番心に残ったのは木村拓也の殺陣でしょうか。 その中での一番は道場での師である緒形拳との立ち合いシーン、 その振り回す木刀の怒りというか殺意というか、 道場の壁をぶちぬいて尚且つ足で踏ん張り抜こうとする、 目の見えない演技もさることながら、 殺陣が上手い・下手を乗り越えた別次元のレベル、 殺意の演技、気迫に満ちたものでした。 庭での練習シーン、実際の果し合いのシーンも良かったです。 ストーリーはあまりにも卑怯な行いの話なので、 主人公でないのに閉口してしまいました。 ただそんな卑怯な男にも“武士の一分”があって変に感心しました。 よく出来ている作品ではないかと思います。 木村拓也も高年齢層に名前と顔、そして演技も評価してもらえ良かったし、 時代劇をSMAPファンの若い女性のほんの一握りでも、 引き続き観て貰える様になれば(例えジャニーズの役者が出なくても) どんなに世代間を越えてプラスになるかと思います。 そういった意味でも木村拓也の頑張りに拍手したい気がします。 個人的に本作の主人公の性格が厳格というか、 他人との関わりが苦手なタイプということで、 山田洋次監督の藤沢周平時代劇全2作 「たそがれ清兵衛」「隠し剣 鬼の爪」の主人公と比べ 人間的魅力で負けてしまっている分、 作品自体も全2作よりは魅力で負けている気がしてなりません。 ただ逆に時代劇の醍醐味である殺陣を見る上では 普段テレビでやっている時代劇でも そして前2作でも観る事が出来なかった、 緊迫感ある果し合いシーンが本作において完成された、 そう思えます。
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