2.0点
ジャケ写のふたりも軸なんだけど軸のひとつ。 青春映画じゃありません。 とある田舎町ですれ違う人々の群像劇です。 高校を卒業したドリカム編成の三角関係。 長く離れて暮らした娘の町に越してくる中年男。 冷えた夫婦。 夢を諦めたミュージシャン。 マラミュート二匹を犬ぞりみたくしてチャリで走るホームレス。 セリフはかなり少なめ。 演者の表情や画面に写りこむ情報を元に鑑賞者の想像力 で補完させる系の映画です。ゆる系。ほんのり系。 やりたいことはわかるし、その方向は嫌いじゃない、 つーか、すごい好き。 ウインターボトムの『ひかりのまち』みたいなのをやりたかったのかな。 長回しで演出もリアル系で山下敦弘フリークの自分には 興味深かったんだけど最後ナニ?あれ。 いきなりPVかCMみたくなっちゃってるじゃんか。 この作品も腰の据わりが足りない気がする。 結局ニヒリズムに堕しただけの作品を私は評価しません。 だっていやでもここで生きてきゃなんない私たちはこの 世界を肯定するしかないから。しなきゃやってらんないから。 でも映画でもなんでも評価されるべきはその「肯定」に 行き着く過程であってその肯定そのものをそのまままるっと 表現すればよいわけじゃないと思う。 逆に言うならニヒリズムを装った、もしくは経由した 「肯定」の方が観る者に届くことだってある。 だから個々のエピソードをくるりと輪を描くように 解決へ導くこと自体はいいとしても要求されるのは その匙加減。ちょっとご都合主義的なところがある なぁと思っていたところへ最後、あまりにもど正直な 記号(:春→再生)を陳腐としか思えないやり方で持って すべてを強引に結びつけようとするのはやっぱり都合よすぎ。 それまでのリアルな演出が台無しじゃん。 「どん底のなかのかすかな希望」を『赤い文化住宅の初子』 で描こうとしながらそれをセリフで説明してしまったタナダユキ と好対照といってしまっては皮肉がすぎるだろうか。 監督さんは投げっぱなし映画の極北wミヒャエル・ハケネの作品を 見るべし。もっと覚悟を決めるべし。 (まぁごちゃごちゃうざいこというのも惜しいなーと思うからこそ なんでお許しを。) でもあれだねぇ、小林且弥が出るとやっぱ締まるねぇ。 もっと評価されるべき役者さんだと思います。