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柔道龍虎房

柔道龍虎房

THROW DOWN/柔道龍虎榜

95

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3.0

アジアで生き続ける黒澤映画

黒澤明の「姿三四郎」にオマージュを捧げた作品になっており、劇中何度も姿三四郎の映画挿入歌が登場人物によって歌われる。最初、「姿三四郎」のリメイク作品なのかと思ったが、物語はオリジナル・ストーリーだった。 日本人から見ると柔道シーンは流石に違和感いっぱい。柔道と言うより柔道に功夫をプラスした様な感じ。投げ飛ばされても投げ飛ばされても直ぐに起き上がって反撃して来る。思わず「違うだろう」と突っ込みを入れたくなってしまう。 柔道の達人司徒寶は何故柔道を止めてしまったのか?何故頑なにトニーの挑戦を退けようとするのか?が映画の中の謎になっていて興味深い。この謎が十分な説得力を持っていると映画として合格点だろう。その点で映画のラストに明かされる謎は、複線もひねりも効いていてかなり満足の行く出来。謎が明らかになって行く終盤はラストのハイライトまで一気に見せてくれる。 一方、司徒寶が自堕落な生活を続けて行く物語の前半から中盤までは、司徒寶が何故柔道をやろうとしないのか謎が謎のままである為、見所が無くて盛り上がらない。流石に映画として成り立たないと思ったのか、小夢(應采兒:チェリー・イン)というスターに夢見る女性を登場させて話を膨らませてあるが、色恋沙汰とは無縁である為、あまり思い入れが湧かないキャラになってしまっている。可憐なヒロインだったらもっと映画も盛り上がったろう。 映画の出来はさておき、黒澤明の「姿三四郎」は1943年公開の映画。半世紀も前の日本の映画がアジアの片隅で生き続けていることに感動を覚えた。

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