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太陽 (2005)

SOLNTSE/LE SOLEIL/THE SUN

監督
アレクサンドル・ソクーロフ
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3.74 / 評価:330件

解説

ロシアの鬼才アレクサンドル・ソクーロフが、20世紀の権力者を取り上げた『モレク神』『牡牛座』に続き、昭和天皇を主人公にした問題作。神と崇められ、戦争に翻ろうされた天皇が、終戦から一転して「人間宣言」へ至る苦悩と孤独を詩的なタッチで描く。昭和天皇役には映画、舞台以外にも多方面で活躍するイッセー尾形がふんし、桃井かおり、佐野史郎が共演。天皇ヒロヒトの人間的側面に迫る本作は、第55回ベルリン国際映画祭など世界各地で絶賛された。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

1945年8月、待避壕(敵の砲弾などを避けるために掘った穴)もしくは生物研究所で暮らしていた昭和天皇ヒロヒト(イッセー尾形)は、自分を神と崇める側近たちに孤独を覚えていた。唯一の安らぎは生物標本を眺める時だけで、戦争終結に苦悩する天皇は日本が焦土と化す悪夢にうなされる。そして、連合国占領軍総司令官マッカーサー(ロバート・ドーソン)との会談の日が訪れる。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C) 2005ニコラ・フィルム、プロライン・フィルム、ダウンタウン・ピクチャーズ、MACTプロダクションズ、リフォルマ・フィルム
(C) 2005ニコラ・フィルム、プロライン・フィルム、ダウンタウン・ピクチャーズ、MACTプロダクションズ、リフォルマ・フィルム

「太陽」ソクーロフは昭和天皇を描いたのか? それとも日本を描いたのか?

 これは後から聞いた話だが、この映画、俳優たちに左右逆で演技をさせて、それを鏡に映したその鏡の映像をカメラが写しているのだそうだ。すべてがそうなのかどうかは分からない。嘘かもしれない。でも確かに、変なのだ。

 日本人が描くことの困難な昭和天皇の人間宣言の前後をロシア人監督が映画にし、昭和天皇に扮するイッセー尾形をはじめそれぞれの登場人物たちが、まるでかつての日本映画のホームドラマのような演技をして、静けさとそれ故の深い悲しみと微かな希望が画面を覆うこの映画、何かが狂っている。どことは言えない。これは「昭和天皇」を描いた映画なのか? それとも「日本」という国そのものを描いた映画なのか?

 タイトルの「太陽」とは何を意味するのだろう? さまざまなことが考えられる。天皇そのもの、沈みゆく太陽、その一方で終戦後の新たな日本の夜明け? しかも、この映画のほとんどが、仄暗い地下室の中。これはいつの映像なのだろう? ここに映っているのは何だろう? そこからは彼らの体温が感じられない。いや、感じられないと思うくらいの弱い体温が、そこにはある。それは希望だろうか? 絶望ではないだろう。世界中で戦闘が止まない人間世界の未来を、このロシア人監督は、この映画の昭和天皇の微かな体温の中に見ているように思う。(樋口泰人)

映画.com(外部リンク)

2006年8月3日 更新

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