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ボルベール <帰郷> (2006)

VOLVER

監督
ペドロ・アルモドバル
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3.78 / 評価:671件

解説

カンヌ映画祭で最優秀脚本賞と最優秀女優賞を受賞し、各映画賞を席巻している珠玉のヒューマンドラマ。母として、娘としてのままならない人生をたくましく生きる女性たちの生き様を描き上げる。監督は『バッド・エデュケーション』のペドロ・アルモドバル。主演はアルモドバル監督と『オール・アバウト・マイ・マザー』以来の顔合わせとなるペネロペ・クルス。アルモドバルらしいビビッドな色彩の中で展開する人生賛歌を堪能できる。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

10代のころ母親を火事で失ったライムンダ(ペネロペ・クルス)は、失業中の夫と15歳の娘パウラ(ヨアンナ・コバ)のために日々忙しく働いていた。ある日、火事で死んだはずの母親が生きているといううわさを耳にする。そんな中、肉体関係を迫ってきた父親を、パウラが殺害してしまうトラブルが発生し……。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

「ボルベール/帰郷」母の人生を見ることで味わえる、人生の豊かさと濃密な時間

 いきなり、死んだ男たちの墓掃除をする女たちの姿から始まるので、ちょっと驚く。こんな大勢で墓掃除をするとは一体何事かと思う。とにかくこの映画に映されるのは、ほとんどが女たちである。数少ない男たちも町を出て行ったり、殺されたりと、世界は女たちによって堂々と動かされていくのである。だがもちろん、それだけではちょっと寂しいし、私たちだっていずれ死ぬことになるだろうと、彼女たちも思い悩んでいて、いやほんとに年老いていくのは辛いなあと、この映画を見る誰もがそう思うだろう。

 そして誰もがそう思い始めたころ、主人公たちの死んだはずの母親が、登場する。彼女は幽霊なのか、現実なのか? と、いきなりサスペンス映画のような展開。しかもその謎解きが、この映画にとって大きな問題ではないことが判明していくからさらに戸惑うかもしれない。しかしそれでいいのだと、この映画は語る。その謎解きの過程で、主人公たちが母の人生を見る=体験することこそが重要なのだと。母の歴史が主人公たちの人生に重なると言ったらいいか。つまり、たったひとりで生きていくだけだったはずの自分自身の実人生が、死んだはず母親の存在によって厚みを増していく、その豊かさと濃密な時間。それを彼らは味わうのである。もちろんその物語を見る私たちも。それこそ至福の時。私たちが映画を見ることの意味は、それ以外にあるだろうか。(樋口泰人)

映画.com(外部リンク)

2007年6月29日 更新

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