心霊写真 呪撮
3.0点
ネタバレストーリーにやや難はありますが
本来の「映画」ではなくオリジナルビデオです。 監督の吉田浩太さんは、それほどヒット作は出てない割と地味な人ですが、私はこの人が監督した「スキマスキ」は大好きです。センスはとてもある人だと思う。 ただ「スキマスキ」の場合は、町田啓太くんと佐々木心音さんという実力のある俳優さんを起用できたという面が大きいのですが。 この「心霊写真」の主演は、俳優としてはあまりパッとせず、むしろ最近では実業家としての方が有名な、寺田有希さんです。ホリエモンとの恋愛沙汰がネット上で噂になってる人。 Amazonでこの映画を検索したら、寺田有希さんの「対峙力」という著作が一緒に上がってきます。けっこう話題になってる。 17歳の彼女は、かわいいのは間違いないですが(10代の頃の福田真由子さんにちょっと似てる)、演技は、、、うーん(笑) 物語は、両親の離婚と共に、姉は母親と、弟は父親と、別々の家で暮らすことになった家族の話です。姉の登志子の役は、寺田有希さん。弟の和義の役は、青柳塁斗くんです。 姉はスパルタ母に「必ず国公立大学へ進学しろ」と強要されて、プレッシャーで潰れそうになっています。姉は気の合う弟と携帯電話で話すのが、わずかな心の安らぎになっていました。 さて、弟が、死んだ祖父の残したカメラであれこれ写していたら、写したはずのない森と少女の写真や、家の二階に立つ弟自身の姿の写真が写っている。画像を携帯で送ってもらった姉は、気になって弟に会いに行ったら、…… まあこれ以上は、これから見る人もいるかもしれないので、お楽しみ、ということにしておきましょう。 といっても、別にド肝を抜かれるような意外な結末が待っている、というわけでもありません。あまり期待はしないでください(笑)。 映画の作りとしては、至極常識的な怪談話、という域を出るものではありません。しかし、やたらにグロテスクでスプラッターな映像で恐怖感をあおりたてようとする最近の「ホラー」に嫌気が差している(私のような)人にとっては、こういう地味だけど薄気味悪いという路線を守ってる怪談話は、割と好感が持てる映画ではあります。 私がこの映画でなかなか好きなのは、映像です。 舞台になった山沿いのうら寂しい田舎町の映像とか、古い日本家屋の映像とかは、いかにも幽霊話の舞台といった感じで、いい雰囲気を出してますね。 ストーリーは、はっきり言って全然筋が通っていなくて、なんでこの亡霊の正体である登志子の同級生・高鷲めぐみが祖父のカメラばかりに執拗に取り付くのか、理由がさっぱりわかりません。 連続少女誘拐事件の話が最初から最後まで出てきて、どんなふうにストーリーにからむのかと思って見てたら、じつは無関係だった、という腰砕けのオチだったりするし。 ストーリー重視で映画を見る人にとっては、満足度は低いと思います。 だけど、何となく薄気味悪い雰囲気を味わえればいい、と割り切って見てる分には、そんなにクソミソにけなすほどでもない映画だとは思います。 怪談話がお好きな人は、一度見てみてもいいんじゃないかな。