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麦の穂をゆらす風 (2006)

THE WIND THAT SHAKES THE BARLEY

監督
ケン・ローチ
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4.12 / 評価:422件

麦の穂をゆらす風は二度と還ってこない

  • cpd******** さん
  • 2008年10月6日 22時37分
  • 閲覧数 179
  • 役立ち度 3
    • 総合評価
    • ★★★★★

監督はもちろんのこと、映画に出演している全ての俳優が素晴らしい。この作品に掛ける熱意に頭が下がる想いだ。

戦争は勝っても負けても必ず悲劇なくして終わらないという普遍的なテーマをスタッフのみんなが強く心に想い、この作品の制作に挑んだからだろう。画面からそんな熱い想いが伝わってくる。

演技とは思えないうまさ・・・とも形容できるが、ここでは演技と思えるうまさ?とでも言おうか。つまり上手に演じているのが見手に伝わるのだ。紛れもなく演技なのは分かってはいるが、分かりながらもうまさを感じる。それは恐らく、必死で訴えようとする強い意志から来るのだろう。

麦の穂は風に吹かれてその存在を示すことが出来る。一度吹かれればずっと吹かれ続けるだろう。しかし、その瞬間の同じ風はもう二度と吹いてはくれないのだ。死んでいった兵士とはそんな風のような存在なのかも知れない。

命を助けるべく医師を志した青年はアイルランド独立闘争組織・IRAに身を投じ、皮肉にも人の命を奪ってしまう。その行為は主人公を運命付け、坂道をどこまでも転がってゆく小石のような逃れられない宿命となる。戦争とはおよそそういうものだろう。自分の意志とは関係なく取り返しのつかないところまで来てやっと気付く、いや、気付かないまま死んでいくのかも知れない。

アイルランドという国の歴史は今まであまり知らなかったが、大英帝国の支配下で虐げられながら辿ってきたということを今回初めて知った。命をかけた念願の英国との条約批准が皮肉なことに逆にかつての同士間での争いに発展してしまったのは悲劇だった。兄弟で敵味方に分かれ主人公は処刑される。帰りを待つ恋人は最後の言葉を交わすことすら許されず永遠の別離を強いられ、その場に泣き崩れる。

ラストの衝撃的シーンにそれまでのストーリーが全て伏線となり集約される。

シンプルでストレートな反戦映画の秀作だ。劇中で歌われるアイルランド民謡もいい。エンドロールで流れれば恐らく僕は号泣したことだろう。

詳細評価

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