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麦の穂をゆらす風
2006年11月18日公開

麦の穂をゆらす風

THE WIND THAT SHAKES THE BARLEY

1262006年11月18日公開

lem********

4.0

永遠に答えの出ないような疑問を呈され

非常に重い映画。 それだけで苦手な人もいるだろうが、もしあなたに世界の様相について少し考えてみたいという気持ちがあれば、この映画を最後まで観ることをお勧めする。 アイルランド独立のための闘いとそれに続く内戦を描いたこの作品の非情な内容を真に理解するには、それなりにアイルランドの歴史に対する知識が必要なのかもしれない。かくいう僕も、次々に展開される闘いの意味を理解するために、何度も巻き戻しては再生を繰り返してなんとか理解しようと努力したが、それでも本当の理解を得られたわけではないような気がする。 アイルランドでの戦闘のシーンは、その緑豊かな自然の美しさと、闘う人間の醜さが物凄いコントラストとして僕の目に映った。人間の信じられないまでの暴虐と、それを歯を噛みしめ、ただ遠くから見ているだけしかない人々の瞳に浮かぶ諦めが、僕の胸を締め付けた。 暴力に対し、暴力で抗う方法は、さらなる暴力を生むだけ。 そうと解りながらも、居丈高な「力」に屈することのないよう、気丈にふるまう人々は武器を取るしかなかったのだろうか……。 特に内戦を描いた後半は凄まじい悲しみに満ちている。 人間はこんなに愚かなのだろうか? どんな理由であれ、昨日までの友達を撃ち殺すことができるのだろうか? どんな大義の下であれ、友達を、そして肉親を殺すことがその正当たる行為なのだとしたら、そんな大義は糞食らえだと思うのは、僕が平和の国日本に住んでいるからなのだろうか? 永遠に答えの出ないような疑問を呈され、気持ちと思考はどこまでも沈むばかりだが、これも映画だ。 素晴らしい映画だ。 lemonsong

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