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5.0点
…ケン・ローチ監督のカンヌ国際映画祭パルムドールに輝いた作品とあっては、見逃す訳にはいかない。 …あらすじは、解説のとおり。 1920年代、アイルランド独立闘争を巡ってのある兄弟の物語だ。 独立闘争に熱心な兄に対して、弟ダミアン(キリアン・マーフィ)はロンドンに渡って医者になることを夢見ていた。 しかし、そんなある日、イギリス軍により無辜な少年が殺されるところを目の当りにして、闘争に目覚めることになる。 組織内に裏切り者がいれば、その人物が幼馴染みと雖も粛清するという闘士にまで成長?する。 そして、多大なる犠牲を払って和平が成立し、完全独立とまではいかなかったが、自治政府(親英国派)が樹立する。 で、兄は、血を流す闘争を繰り返すよりは、自治政府を踏み台にして平和裡に独立を目指す親英国派に組し、一方の弟ダミアンは、完全独立を目指すとして更なる武装闘争に身を潜め、兄弟は完全に袂を分かつのだった。 しかし、非力なダミアン一派は、親英国派に敢え無く逮捕されてしまう。 逮捕されたダミアン一派は、全員が銃殺の刑に処せられる運命だ。 兄は、仲間の居所を教えれば銃殺は免れる、とダミアンを説得するのだったが、幼馴染みを粛清した過去のあるダミアンに、仲間を売る真似なんて出来る筈もない。 で、銃殺刑の当日がやってくる。 銃殺の指揮を執るのは、ダミアンの兄だ。 苦悩に打ちひしがれる兄の姿を見て、同僚が執行の代わりを申し出る。 しかしながら、ダミアンの兄は、何かを振り払うようにして……後は想像のとおりの結末で……兄弟の命を奪ってまでの信義とはいったい何??と考えさせる、空虚感、寂漠感で胸が締め付けられる、重厚な作品だった。
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