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ミラノカリブロ9 (1972)

MILANO CALIBRO 9/CALIBER 9

監督
フェルナンド・ディ・レオ
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4.00 / 評価:1件

B級マカロニ・ギャング映画の逸品

  • cyborg_she_loves_me さん
  • 2018年10月29日 0時34分
  • 閲覧数 45
  • 役立ち度 1
    • 総合評価
    • ★★★★★

 1960~70年代のイタリアの西部劇やギャング映画って、どれもこれも大好きなんですが、なんでかだろう、と考えてみるに、ひとつは、それらみんなに共通する「男の美学」みたいなものがありますね。
 一匹狼の美学。法の正義を振りかざす権力に屈しないのはもちろん、暴力で相手をねじ伏せようとする組織の圧力にも決して屈しない。自分の力だけを信じてたったひとりで生きてゆく。

 「夕陽のガンマン」などのセルジオ・レオーネ監督なんかが代表格なわけですが、この「ミラノカリブロ9」のフェルンナンド・ディ・レオ監督は、それほど華々しく有名ではないですけど、知ってる人はめちゃくちゃ高く評価する、B級ギャング映画の巨匠です。

 この映画のヒーロー役のガストーネ・モスキンは、クリント・イーストウッドみたいにハンサムでも、キザでもない、むしろちょっと中年にさしかかった、太り気味でアクションもそんなにキレはない人ですが、マスクは「トランスポーター」のジェイソン・ステイサムなんかをちょっと連想させる、ニヒルな男前です。
 ほとんどアクションもガンさばきも見せず、ただ淡々としているだけの彼が、しかしかっこいい。彼の演ずるウーゴの生きざまが、かっこいいんですね。

マフィアの資金の30万ドルが運んでいる途中で白紙にすりかえられた。彼らは疑わしい人々を「処刑」するが、結局金は出てこない。
 3年後、別の罪で服役していたウーゴが出所してくると、マフィアの部下たちは、金を盗んだのは彼だと目星をつけて脅迫しに来る。だが、彼はあくまで何も知らないと言い張る。
 ギャングたちに金と身分証を奪われたウーゴは、警察に一時的な身分証を作ってくれと頼みに行く。刑事は彼に、マフィアのボスのモッカートについての情報を流せばおまえを助けてやるといって取引を持ちかけるが、ウーゴは断わる。

 マフィアにも警察にも尻尾を振らないウーゴですが、昔の友人たちや、かつての彼女への信頼は守ります。
 彼らとのこんな会話があります。今のこの街にマフィアなんていない。いるのはゴロツキだけだ。気に入らなければ仲間でも平気で殺す。
 無法者にも通すべきスジってものがあるんだ、というわけですね。このスジをあくまで通そうとしたおかげで、予想外の展開が待っているわけですが……

 ただのドンパチ・ギャング映画ではない、ある種の気品みたいなものが、この映画にはあります。そしてそれに伴う悲哀も。
 決して派手さはないB級低予算映画ですが、独特の美意識が全体を貫いていて、見ていると惚れます。

 そして、音楽がまたかっこいいんですね。ルイス・バカロフという作曲家は、マカロニ・ウェスタンの数々の名作の音楽を担当した人で、1996年には「イル・ポスティーノ」の音楽でアカデミー賞も受賞しています。

 派手な映像やアクションが好きな今の若い人たちには、たぶんもうわからない世界でしょうけれど。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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