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記憶の棘 (2004)

BIRTH

監督
ジョナサン・グレイザー
  • みたいムービー 108
  • みたログ 983

3.63 / 評価:312件

夫の不在

  • kodama_yama30 さん
  • 2009年12月6日 22時54分
  • 閲覧数 262
  • 役立ち度 8
    • 総合評価
    • ★★★★★

人によって解釈がちがう・・でも、まだ納得がいかない。

「少年ショーンがアナの夫ショーンの生まれかわりかどうか」
これが最初から最後まで、問題になってくる。

見た方はわかるように、結末は、、

【こっからもうネタばれですよ】

一応の合理的な決着が付いた形になっている。アナの手紙を読んだ「少年ショーンの思いこみ」的な。
しかし、ここの皆さんレビューでもあるように、そうではなくて、「夫ショーンの愛が少年ショーンに宿った」的な解釈も多い。

私も、最初、そうかなと思いました。
でも、よくよく考えてみると、それもまだ納得がいかない。
というのも、何と言ってもその手紙は、「アナが書いた」手紙であるということだ。
そこで、私が考えたひとつの解釈を書いてみようと思います。

アナが昔、夫ショーンに宛てて書いた手紙。それを、夫ショーンは「開封せずに」愛人のクララに渡していたというのだ。だから、この手紙の内容は、「アナから見た」内容であって、「夫ショーン」の気持ちは入っていない。つまり、少年ショーンに宿ったのは「夫ショーンの愛」というより「アナの望む夫ショーンの愛」。少年ショーンは、アナが望んだ夫の姿だったのだと思う。

そうすると、やはり最初の「合理的な決着」の形のほうが、私にとってはしっくりくるかもしれない。

気になるのは、やはり「夫ショーンの不在」。
夫ショーンは、最初から最後まで、顔すら出てこない(たしか、出てこなかったと思う…)。夫ショーンがいない、ということがとにかくずっと問題なのだ。夫ショーンさえいれば、アナは新しい夫などいらない。夫ショーンさえいれば、少年ショーンなどあらわれない。
だから、「愛」は「愛」でも、一方的な愛に見えてしまう。アナの夫ショーンへの愛、少年ショーンのアナへの愛、クララのショーンへの愛、全てが、「夫ショーン」の気持ちが不在のまま、描かれていく。
いったい、夫ショーンの本当の気持ちはどうだったのだろう。いったい、元々の「少年」ショーンの少年の心はどこへ行ってしまっていたのだろう。

でもやはり、「死」は「死」なのではないか。
夫ショーンの気持ちは、もう誰もわからない。でも、きっとアナの心の中には夫ショーンがちゃんといて、また、クララの中にも生き続けている。それでいいのではないか。
少年ショーンは、夫ショーンの気持ちの生まれ変わりでも、あるのかもしれない。でも、それは夫ショーンとイコールなのではなく、目の覚めた「少年の心の」ショーンに戻ったことによって、昇華されるものなのではないか。
生きている人は、この後も生きていかねばならない。ジョセフも、アナも、少年ショーンも、クララも、これから誰を愛して生きていくのだろう。アナは、この後も、見えなくなった夫ショーンの姿を求めて生きていくのだろうか。だったら悲しい。でも、ラストシーンを見る限りでは、そうなのかもしれない。

でも、わからないことが1つ。
少年ショーンは、なぜ、アナの夫ショーンが死んだ場所を知りえたのか。アナが夫に宛てた手紙は、死んだ後もクララの元に届いたわけではないだろう。
何か、見落としているのかな。やっぱり、謎は残る。。
誰か、答えを考え付いた方、いらっしゃったら教えてください!


キャストもいい。あの男の子、キャメロン・ブライトも、どこかで見たと思ったら、以前見た「サンキュー・スモーキング」に出ていた子でした。妙にセクシー。男の子版「レオン」マチルダみたい(言いすぎ?)。顔が凄くいいとか、スタイルもムキムキとかでもないのに(むしろちょっとポニョポニョしてるのに…)。大人顔負けな演技派の、いい俳優さんです。
とにかく謎の部分が多い映画でした。いろんな人の解釈を聞いて、議論してみたいです。そういうところがいいと思うので、星5つ。

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