ここから本文です

記憶の棘 (2004)

BIRTH

監督
ジョナサン・グレイザー
  • みたいムービー 108
  • みたログ 983

3.63 / 評価:311件

少年ハードボイルドに嫉妬

  • たこのまくら さん
  • 2011年11月22日 0時56分
  • 閲覧数 654
  • 役立ち度 1
    • 総合評価
    • ★★★★★

かなりメジャーな映画であり、監督がCMやMCを撮っている人らしいのでちょっと危ぶんでいたが、思ったより抑制の利いた画面で、映画らしい映画になっていた。深くは無いと思うが、静かな緊張をたたえた、みどころの多い映画である。
どうやらミステリー的にもファンタジー(オカルト)的にもどっちつかずなところが不評の主な原因らしい。だがこの映画は大雑把な意味でミステリーだと理解した。自分も途中までこりゃあ徹底したファンタジーかなと思って観ていたが、してやられた。乱暴に言ってしまえば、ある少年の悲劇を通して暴かれるヒロインの偽りの心、みたいな内容である。だからヒロインに対してはかなり冷淡な映画だ。大女優がよくこんなのに出たな、と思うが、そこが大女優たる所以であろうか。

描写不足とは思うが、全編を通して現れる老醜を晒す母親と、失業夫を抱えるどこか品のない姉の存在が、アナの華やかさに影を差す(女系家族の没落を感じさせる)。おそらくこの映画ではなんとなくイヤな男っぽくみえる新しい夫、ジョゼフの財力がポイントなのであろう。つまり家族の期待がアナひとりにのしかかっているのだ。これまでもアナはそうやって自分の心を偽って生きてきたのではないかとも疑える。かつての夫、ショーンの実像は映画では提示されないし、それどころかアナの人間像もどこかはっきりしないのである。だから生前の夫婦関係がどうであったかは想像できないところがミステリー。

だが、アナは少年の出現に愛の幻想を見てしまい、愛への渇望が引き出された。思ってもみなかったプラトニックラブの深淵に嵌る。アナが夫は実は自分をこんなに愛していたのだと、実情とちがう話に呆然として聞き入るクリフォードとクララの表情はみもの。やがてショーンとの愛が潰えて、卑屈ともいえる態度でジョゼフにひざまずくシーンもみどころになっている。幻想と現実に引き裂かれたラストの海岸でのシーンは無残だが美しく、出色の出来。

少年の悲劇とはいうまでもなく、「解離」のような症状が少年に襲いかかったことである。その辺は結局はっきりさせないのでかなり都合よく描かれているワケだが、母親の苦悩もしっかり描かれているので、映画内では割と納得できた。少年の「解離」がアナの「解離」を呼び起こした。少年の「解離」は前夫、ショーンの呪縛から離れた時、完成されたのかもしれない。

出演者は総じて適役で演技も充実。クララ役の人を見たことあると思ったら、「デッドマンコーリング」のw

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 未登録
このレビューは役に立ちましたか?
利用規約に違反している投稿を見つけたら、次のボタンから報告できます。 違反報告
本文はここま>
でです このページの先頭へ