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DEATH NOTE デスノート the Last name (2006)

監督
金子修介
  • みたいムービー 455
  • みたログ 8,143

3.88 / 評価:2,958件

人は、神にも、死神にもなれない

  • dr.hawk さん
  • 2016年11月7日 22時35分
  • 閲覧数 962
  • 役立ち度 4
    • 総合評価
    • ★★★★★

大場つぐみ&小畑健によるコミック『DEATH NOTE』の映画化作品の後編
捜査本部に潜り込んだ月(藤原竜也)とL(松山ケンイチ)の最期の戦いを描いている
監督は前作に引き続き金子修平


恋人の死により同情を得て捜査本部に加わることになった月
捜査に参加して自分の思い通りに事を運ぼうとする最中、第二のキラが現れる
死神のノートを持った第二のキラはアイドル・弥海砂(戸田恵梨香)であり、彼女は家族全員をを殺された過去を持つ
だがその犯人は裁かれることもなくのうのうと生きている
そしてその犯人はキラの裁きによって殺され、以来彼女はキラの信奉者となっていた


新世界のためにLを殺すことを物語上の欲求として持ち、次に彼に訪れた難題は「コントロールできない他人」である
自意識のそれとは違う厄介な彼女は、月を信奉しながらも隙の多い人物像であり、すぐに警察に捕まってしまう
これまでの立場がぐるりと180度変わってしまうところが妙味である


さて、月は弥海砂をうまくコントロールし、Lを倒すことができるだろうか


原作も同様だが、海砂の登場で月に隙が生まれ始める
この破綻にいち早く気づくのはLでありながら、その過程は視聴者の想定の範囲内に収まる
思うよね、ありゃ捕まるって
でも、物語は捕まることを前提で動き、月はその状況をコントロールしようと考え始めるのだ


海砂の死神レムの感情を使いこなし、嘘のルールを作る
そして死神のルールを使いこなして、Lを仕留める
実にクールな戦略は成しえたかに思えた


本作の見所は原作にはない結末であろう


観方によっては勧善懲悪的でありながらも、月の物語最後の方に芽生えていた意識はノートを手にしたときよりも「ノートへの執着と傲慢さ」が見て取れる
人間の死と、時には行動を操ることによる「神のごとき所業」は月を根本から変えた

そして、それが視聴者にも明確にわかる形で示される
父親の名前を書くシーンである


前作でも恋人の名前を書いた月だったが、そこで外れた箍には言い訳があった
だが今回のそれには「言い訳」の通用しない地獄の淵に足を踏み入れてしまっている

正直前作の恋人は魅力的ではなかった
どちらかと言えば嫉妬を買うタイプであり、また希薄に思えた関係性が月の過剰演技でさらに「どこか本当の愛を感じない」という感覚を覚えていた

しかし今回の実父というのはさすがに「視聴者と月との間に距離感」を生んだ
これまで理想に共感しながらも、どこか違和感を感じていた存在は、その時はっきりと本性を現したのである
そして、月のその人間性の崩壊を作ったのはデスノートの存在だった


人知を超えた力を得たときに、人はどこまで人でいられるのか
これはこの作品の裏テーマとして存在し、仮初の正義感は剥がれ落ちることを表現している
人は神にも、死神にもなれない


Lは自己犠牲をもって月の野望を阻止し、そして彼の隠された価値観を晒して舞台から去る
このエンディングは原作のLの最期よりは劇的でありながら改編とは思わなかった

これは意外と難しいことである


この映画は前後編の二部構成でありながら、最後の最後まで原作に忠実な形で進みながら、映画ならではの引き出しを用意した
原作を映像化するだけでは映画化の意味はないと某監督は言ったが、そこには「この作品がいかにして支持されているのか」という観客の心を理解できなければ意味がない

その意味でこの前後編にわたる物語は素晴らしいデキだったと感じた


まあ、この上がりすぎたハードルに、最新作はきっちりと足を引っ掛けてコケるんでしょうなあ
(スピンオフもきっちりコケたけど)

詳細評価

物語
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