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Sad Movie <サッド・ムービー>
2006年11月11日公開

Sad Movie <サッド・ムービー>

SAD MOVIE

1092006年11月11日公開

efe********

5.0

ネタバレ優しく、切ない物語

不器用な消防士と、その無事を祈る手話通訳士 純朴な絵描きと、聴覚障害のパレード団員 根性だけはある「別れさせ屋」と、悲観的なレジ打ち 病に侵された母と、素直になれない子 4組のカップルと親子の、ぎこちなくもひたむきな愛の物語です。 オムニバス形式ということで、人によっては混乱するかもしれませんが、私の場合は(へっぽこボクサーと絵描きが同一人物? と思ったぐらいで)、特に戸惑うことはありませんでした。どのストーリーも秀逸ですし、すべてが繋がるわけでもないので、4つ並行はもったいない気もします。それでも、消化不良ということはありません。 韓国映画は疎いので、誰がどの程度有名な役者なのかはわかりませんが、手話で話すスジョンとスウンの姉妹(イム・スジョンとシン・ミナ)は魅力的でした。 明るく、さわやかな雰囲気で物語は進みます。そここで、クスッと笑わせるところもあります。しかし最後には、4組はそれぞれ、失恋や旅立ち、はたまた死別で引き裂かれてしまいます。 物語はここで終わりますが、決して希望がないわけではありません。破局を迎えて、各登場人物の心を支配するのは、絶望ではなく、愛した人とその思い出への感謝。残された者たちが、痛ましくも愛おしい記憶を抱え、それと向き合いながら生きていく、そんな再出発を予感させる最後です。 私にとっては、実に心にしみた映画でした。しかし、世間の評価はすこぶる悪いようです。これはおそらく、ラストの「号泣」や「衝撃」を求めて裏切られたためかと思われます。 この作品に、分かりやすい形での、「救い」はありません。魂を根底から揺るがすようなショックもありません。ラストだけ切り取っても、陳腐に思えるかもしれません。 この作品は、各々のカップルの各々のエピソードが積み重なり、最後の最後にそれらがそっとくずれさることで、心に感動が、さざ波のごとく伝わっていく作品です。 衝撃的なラストにつながる物語として見るのではなく、初めから終わりを丹念に見つめていくように見れば、きっと楽しめるかと思います。

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