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神童 (2006)

監督
萩生田宏治
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3.32 / 評価:457件

解説

人気漫画家さそうあきらの同名傑作コミックを原作に、才能をもてあます天才ピアノ少女と、音大浪人生の心の交流をさわやかに描いた感動作。脚本は『リンダ リンダ リンダ』の向井康介、監督は『帰郷』の萩生田宏治が務める。主演はドラマ「瑠璃の島」などで圧倒的な存在感を放つ成海璃子、彼女と交流を持つワオ役に話題作への出演が相次ぐ松山ケンイチ。国際舞台で活躍するクラシック界の新鋭たちが演奏する名曲の数々も魅力だ。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

ピアノの才能に恵まれた少女うた(成海璃子)は、神童として周囲の期待を背負いながらも自らの才能をもてあましていた。母親との関係や制約の多い窮屈な日常に嫌気がさしていたある日、落ちこぼれ音大受験生ワオ(松山ケンイチ)と出会う。彼と一緒に過ごすうちに音楽の真の喜び、人の心の温かさに目覚めてゆく。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)「神童」製作委員会
(C)「神童」製作委員会

「神童」成海璃子の存在感が全編を圧倒

 心を閉ざしていた人と人が、音を媒介に間合いを計るようにして近づいていく空気を、萩生田宏治監督は絶妙にすくい取っていく。しかし、作家性よりもキャラが上回った。成海璃子扮する少女の存在感が全編を圧倒するのだ。決め台詞――あたしは音楽だから――は伊達じゃない。彼女の身体こそが“楽器”である。その瞬き少なく透き通る眼は好奇心に満ち、理不尽な世界に驚きと戸惑いを隠せず、耳を澄ますかのように刮目する。その白く長い指は鮮やかに鍵盤に踊り、伸びやかな肢体は居心地悪そうに空間を行き来する。噛み合わない心と身体は、やがてひとつに融けていく。

 少女は葛藤している。それが何に対してなのかは判然としない。自らの才能、亡父の選択、母の期待、自らの運命……。原風景は、墓場のようにピアノが並ぶ広大な倉庫で父に手を引かれ良き音を探す彷徨。俗世との関わりを絶った父の幻影、いや幻聴にうろたえ、彼女は世界を受け容れることができない。変化をもたらすのは“かたわれ”である青年の存在。それは異性を求める欲求とは異質のものであり、精神の高みを目指して魂を共有する感覚。

 連弾しながら少女と青年は眼と眼を合わせ、魂を確認し合う。繋がることができる相手がいる限り、死を拒み続け、生きよう。そんな決意みなぎる音色が奏でられるまで、彼女の一挙手一投足から眼が離せない。苦悩から歓喜へ。絶望から希望へ。物語の脈絡や人物の表情とは関係なく、少女の心の漂流を見つめながら、不意に涙がこぼれ落ちる瞬間があるとしたら、あなたは、映画を見続けることで不全感を埋めようとする一人かもしれない。(清水節)

映画.com(外部リンク)

2007年4月20日 更新

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