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劇場版 BLEACH ブリーチ MEMORIES OF NOBODY (2006)

監督
阿部記之
  • みたいムービー 36
  • みたログ 264

3.82 / 評価:149件

シリーズ初期の象徴

  • sca***** さん
  • 2015年10月13日 19時52分
  • 閲覧数 379
  • 役立ち度 1
    • 総合評価
    • ★★★★★

ブリーチは初期が面白いという意見はよく聞きます。私もそう考える一人です。
この映画もいくつかある劇場版の中で最も印象深く、記憶に残っている映画です。

少年漫画の長期連載作品は話が進むほど主人公の手札は多くなり、やることは派手になりがちです。それが劇場版というお祭り騒ぎの場ともなれば、物語としての魅力よりもその場のノリと勢いに任せた大仰な演出の方が優先されてしまうことも珍しくありません。その点で言えば、今作の一護の切り札は卍解のみ。虚化することもなく彼は常に自分を見失わずに戦いに臨みます。護廷十三隊の面々が活躍するシーンもありますが、それも最低限のお祭り要素に留まっており、全体の流れをさほど邪魔していません。原作から回収しなければならない要素が少ない分、ゲストキャラである茜雫と一護の触れ合いに時間を割くことができています。

僅かな時間で駆け足にも冗長にもならず、登場人物の人格が深まり、主人公たちとの関係が熟していく。そういった展開の軽快さと人物の奥深さの両立こそが初期ブリーチの魅力でした。この映画にはそんなシリーズ初期の魅力が凝縮されています。

個人的に茜雫はルキアに勝るとも劣らない最高のヒロインだと思います。今作限りのキャラというのが実に惜しまれますが、彼女の輝きはあの運命があってこそという思いもあってなんとも複雑な気持ちです。

残念だった点をあげるなら、茜雫が素晴らしかった反面敵役である巌龍の印象が薄かったことでしょうか。茜雫の存在は彼らにとっては目的を達するための要とは言え材料の一つに過ぎませんでした。それがかえって残酷さを際立たせた部分もありましたが、全体的に脳筋気味というか、彼らの計画にもう少し捻りがあると映画全体の奥行きが広がったのではないかと感じます。一護にとっても、巌龍は茜雫を救うために排除しなければならない障害物でしかありませんでした。
シンプルですっきりとした戦闘シーンは個人的に好ましいです。一護の刃には確かに彼の魂と誓いが宿っていました。しかしその誓いは彼自身の魂と茜雫に向けられたもので、その刃は茜雫の運命に向けられています。一護は巌龍と刃を交えましたが、一護が斬り開きたかったものの中には、巌龍は欠片も含まれていなかったのです。この構図は尸魂界の掟そのものと戦ったという白夜との戦いとよく似ていますが、少なくともあの戦いに至るまでの一護の心の中には、ルキアを救うという目的と同時に、越えなければならない壁として白夜という個人が確かに存在しました。しかし巌龍の場合だとそれがありません。「立ちはだかる強者」と「排除しなければならない邪魔者」。この差はあまりにも大きいです。また、巌龍以外の敵は他の死神たちを際立たせるための賑やかしでしかありませんでした。せめて優秀な参謀役などの腹心がいれば、集団としての敵の魅力が出たことでしょう。

この映画の印象を決定付けるのは、やはりラストシーンです。茜雫との別れとルキアとの会話からの主題歌の入り、町の遠景の一枚絵のみで朝から夜に時間が流れていくスタッフロール、そしてまた朝が来て救いと余韻の残るエピローグ。これらの流れは何度見ても感心させられます。ジャンプ作品の劇場版でこの手の余韻を与えてくれる物は本当に稀です。十分に良い出来と言っていい作品でしょう。

詳細評価

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