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ありがとう
2006年11月25日公開

ありがとう

1252006年11月25日公開

dkw********

5.0

震災の悲劇を風化させない志へ +☆☆

 13年前の阪神・淡路大震災を契機とする実話だけに、映画化に当たっては相当の配慮が為された事と想像します。加えて、実在する人物を主人公に据えていた分だけ、その周辺への配慮も大変だったと思います。それらの事が原因であれば残念なのですが、不幸にして映画としてはバランスを欠いた仕上がりに甘んじていまいた。震災から復興までのドラマは良しとしても、プロゴルファーへの挑戦を話の筋に加えるにしては、エピソードが不足していた印象です。神戸の復興劇が、個人的な成功劇に納まってしまう事を避けたかったのでしょうが、それならそれで映画ならではの工夫で乗り切って戴きたかった。そもそも、脚本の粘りが圧倒的に足りない印象で、まったくと言って良い程、綾が織り込まれていませんでした。これは致命的でした。プロテスト最終日の、たった一日の中に、回想劇を挟み込ませる構成の仕方や、過去と現在の時間的な比重が曖昧なままなので、求心力も遠心力も生じて来ません。プロテストのシーンは、ゴルフ場での撮影に制約があったのか、はたまた天候や日程的な問題があったのか、ちょっと御粗末な出来栄えでした。出演者の存在感や、震災時の神戸を再現した特撮映像など、随所に頼もしい箇所も見られたのですが、やはり圧倒的にバランスを欠いた印象です。  しかし、映画という意識からちょっと離れて、震災の悲劇を風化させない為の映像的な試みと捉えれば、充分に胸を打つ力はありました。

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