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ありがとう
2006年11月25日公開

ありがとう

1252006年11月25日公開

melrose1004

5.0

覚えておきたい映画です

この映画が、良くも悪くもさほど脚光を浴びていないのは、分かる気がする一方で、寂しい思いがします。出来不出来は別にして、覚えておきたい映画です。 古市忠夫というプロゴルファーの実話に基づく物語です。 古市忠夫という人は、私がちょうどゴルフをやり始めた頃に話題になっていた人なので、非常に良く覚えています。神戸出身で、震災で自営のカメラ屋が全壊したということも話題になっていました。ツアーにも出ていました。 ゴルフのプロテストのエピソードがメインとばかり思っていましたので、冒頭40分にもわたる震災シーンには驚き、胸を衝かれました。 中でも、瓦礫に埋もれ手だけしか見えていない妻を救おうとして救えない夫(しかも、よく見ると、演じているのがトヨエツだったりする)を制し、「(夫と子どもは)引き受けた」と叫ぶ古市の姿、崩れ行く家屋、断末魔の叫びは、思わず顔を覆ってしまいました。 確かに、大震災とその復興、プロゴルファーを目指すストーリー、これらを結びつける要素は本来何もなく、後半がやけに軽く見えてしまうのは否めません。 しかし、この話は実話です。 古市忠夫という人が、多少の脚色はあっても、確かにこうした人生を歩んでいた、という事実を前に、何も文句は言えません。 消防団や復興委員会で奔走した人が、プロゴルファーを目指す、という突拍子もないことを思いつくのも、また立派なドラマです。壊れていなかった車を見つけ、トランクに傷ひとつなく残されていたゴルフバッグを見つけた古市の聞いた神の声を、誰が否定できましょう。 妻を演じた田中好子も好演でした。相手が赤井英和ですから、もちろん神戸弁の下手さが際立っていましたけど、そんなことは気にならなかった。弱さもちゃんと見せます。めそめそしています。あの状況では当たり前なのです。 (余談ですが、スーちゃんと島木譲二のツーショットはレアものです) 作り物っぽい映画ではありますが、是非多くの人に観て欲しい、覚えておきたい映画です。

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