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ありがとう
2006年11月25日公開

ありがとう

1252006年11月25日公開

aav********

5.0

ネタバレ希望を、ありがとう

阪神淡路大震災 自分はそれをテレビで見ていた。 そう、それはまさに他人事だった。 マスコミのヘリが映し出す赤く燃える建物、立ち上る黒煙、横倒しになった高速道路、 そして、高速から投げ出された車と、道路の切れ目から今にも落ちそうに頭を乗り出すリムジンバス とても現実に起きていることとは思えずに、 まるで映画のワンシーンを見ているような気持ちでいたのをよく覚えている。 冒頭の震災のシーンは、巨費を投じて作り上げただけあり、リアルを通り越して生々しく痛々しい。 もちろん、それで ~ちょっとでも被災者の方々の気持ちが分かった~ なんておこがましい事を言うつもりはありません。 ただ、当時のあのニュース映像を見ていた人が、少なからず自分と同じ気持ちでいたのならば、この映画は絶対に見るべき映画 なぜなら、実際に被災された方々の苦しみを理解することはできなくても、 『明日は我が身』を痛烈に感じることはできるからです。 そしてそれこそが、この震災で亡くなられた方々が、今現在生きている我々に残してくれた希望でもあるからです。 後半のゴルフの場面。 ボールが藪の中に入ってしまうシーンがフィクションなのかノンフィクションなのかは分かりませんが、 仮にフィクションであったとしても、あのシーンは入れて正解だったと思う。 藪の中に差し込む太陽の光 その光が、震災で家族以外の全てを失った主人公『古市忠夫(赤井英和)』の、唯一の希望の光 それは彼自身の希望の光であると同時に、 どんなに絶望的な状況に立たされても『絶対に諦めたらあかん!』という我々に向けたメッセージでもある。 この作品で唯一涙がこぼれそうになった場面は、消防車が駆けつける場面。 火が燃え広がる。しかし水が足りない。人手が足りない。 そんな中駆けつける消防車。その消防車のドアには 『明石市消防署』『東京消防庁』『横浜市消防局』『京都市消防局』『彦根市消防本部』 全国各地から応援に駆けつけて来る。 既に高速は倒壊しているはずなのに、それでも駆けつけて来る。 人は一人では生きてはいけない弱い生き物。 そんな弱い人間一人ひとりが手を取り合い、必死に他の誰かを助けようとする。 人は弱い。だからこそ強い!それがよく表れたシーンだった。 ただ、その流れそうになった涙は結局流れなかった。どうしてもこの映画で泣くことはできなかった。 それは、自分がまだどこかで、震災を他人事だと認識しているせいなのだろう。 この映画を見て涙を流すとき、それは、自分自身が震災の当事者になってしまったときなのかもしれない。 そうはなりたくない。そう思ってしまう。それは人として当然の感情。 しかし地震は待ってはくれない。もし否が応でも当事者になってしまったとき、 自分はこの映画で語られる『3つの顔』のなかで、いったいどの顔をするのだろうか。 『呆然となって動かなくなってしまった人の顔』 『自分の事しか考えない人の顔』 『ただただ、人のためだけに動く人の顔』 あなたは、どの顔になりたい?

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