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パフューム ある人殺しの物語 (2006)

PERFUME: THE STORY OF A MURDERER

監督
トム・ティクヴァ
  • みたいムービー 1,404
  • みたログ 5,035

3.56 / 評価:1789件

先が読めない面白さ。死の香りが漂う。

  • 月光の【sonata】 さん
  • 2007年3月8日 3時30分
  • 閲覧数 2769
  • 役立ち度 125
    • 総合評価
    • ★★★★★

中世のヨーロッパが好きな私には、とてつもなく面白い映画でした。
冒頭の、主人公グルヌイユがパリの魚市場で生まれ「落ちる」場面から、物語
にぐいぐい引き摺り込まれてしまいました。
まず、お伝えしたいことがあります。
それは、汚物など気持ちの悪い物を見たり、死屍を見たりするだけで気分が悪くなる方には絶対この作品はお勧めできません。たとえ、映画の上であれ、次々と女性の死屍が出現します。
「香水」の物語だからと、ロマンティックな映画を想像していると、とんでもないことになりますよ。
と言って、猟奇殺人映画や、推理映画、オカルト映画を期待する方は、それはそれでガッカリさせられます。
あえて映画のジャンルを問われれば、「伝記映画」ではないでしょうか。
特殊な嗅覚を持って生まれた天才の伝記。
しかし、この天才、天涯孤独で、人の愛情というものを知らない、とんでもない欠落者なので、死屍だけがどんどん増えてゆきます。
凡才監督がこの作品を撮れば、「ただの香水好きの殺人鬼」映画になってしまうでしょう。
実際、私の知人の幾人かは、
「気持ち悪い殺人鬼の映画や。あんまり、おもろなかったわ」
と同じ意味の感想を述べました。

ロマンの欠片もない作品ですが、香水に興味のある方、異端の人間ドラマがお好きな方、映画に芸術性を求める方、中世ヨーロッパに興味のある方、映像美に惹かれる方には、「最高の芸術作品」です。
以上の方には、ぜひとも観ていただきたい映画ですね。

『マリー・アントワネット』の世界とは対極にある、下層の汚れ切ったセーヌ河畔の魚市場で、魚を売っている女が商売の途中、立ったまま赤子をズルリと産み「落とし」、魚をさばいている包丁でヘソの緒を切り、赤子を散乱する魚の腸(ハラワタ)と一緒にセーヌに流そうとするのですが、赤子のひと鳴きで暴露されてしまい、絞首刑になります。
主人公のグルヌイユの人生は、魚のハラワタにまみれた最悪の船出でした。
孤児院から人買いの手に渡り、愛情などとは無縁の世界で育つグルヌイユ。
ここから先はネタバレになりますので書きません。
ただ、なかなか先の読めない不思議な展開には、耽溺させられます。

以下は監督トム・ティクヴァについての余談ですので、ご興味のある方のみ御覧いただければ幸いです。
トムは赤毛の女性が好きなのでしょうか?
トムの出世作『ラン・ローラ・ラン』では、赤毛のローラが走りに走る。『パフューム』でも赤毛の美女がターゲットとなります。それはそれとして、『パフューム』を評価された方にぜひ観ていただきたいのが、『ヘブン』(2002年)です。イタリアが舞台ですが、上空から特殊カメラで撮影したトスカーナ地方の映像美には痺れますよ。トムの才能に驚かされました。
スペインのバルセロナで撮影された『パフューム』の映像美も素晴らしかった。まるで、レンブラントやフェルメールの光と影の名画を眺めるようで、私は息を呑んで見守っていました。
香水の映画だけに、女性の鼻、瞳、睫毛、唇などのアップを美しく巧みに捉え、逆に、香水調合師でありながら、垢まみれの黒い爪が主人公の精神的な汚れまでさえも映していましたね。
最後に、『ヒトラー最期の12日間』でゲッペルス宣伝大臣夫人役で忘れられない名演技を見せてくれたコリンナ・ハルフォーフが、グルヌイユの女主人という端役で出演していて、驚きました。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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