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気球クラブ、その後 (2006)

監督
園子温
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  • みたログ 387

2.79 / 評価:125件

2つのストーリーを混ぜた珍味な青春映画

  • KONA さん
  • 2015年6月22日 16時25分
  • 閲覧数 1500
  • 役立ち度 2
    • 総合評価
    • ★★★★★

この作品はひとつのメッセージを幹にしている話というよりは、大きく2つのストーリーに分かれている。(だから鑑賞後なんだか掴み所のない作品だったという印象が強いのだろう。)

ひとつは気球クラブに集う責任のない自由を謳歌するジロウを始めとする多くのメンバーが主役。彼らの陳腐な青春とその終わりがリアルに描かれている。

宙ぶらりんで上の空な若者を描くのには、おそらくテニサーでも飲みサーでもよかったのだろう。ジロウが言っているように「気球なんてどうでもよかったんです」そう、気球である必要性は全くなかった。
彼らにとって気球クラブは単なる所属欲求、承認欲求を満たす場所、持て余した時間を仲間と空費するための居場所であった。
であるが故にサークル代表者が死んでも何の感慨もない。空費した時間にそんな多くの思い出がないため涙がでてこないのだ。いい思い出ではあるが、どこか"上の空"だった誰しも少しは経験したことがあるであろう陳腐な青春が描かれている。
その陳腐な青春に終わりを告げるための、最後の気球バー、そして連絡先の削除。
彼らの再会は村上をしのんでいたわけでなく、何となく時間を空費していた若い自分たちとの決別のためにあった。


もうひとつのストーリーの主役は村上とミツコさんだ。
ただ仲間との時間の空費を気球クラブに求める多くのメンバーとちがい真に気球を愛する男、村上を起点にストーリーを展開させることでその対比がより両者がよりひきたたせている。

そして気球でなく、そんな村上を愛するミツコさん。
彼女の発言にインスピレーションを受けてすぐに気球のアイディアをメモする村上の滑稽さに彼女が惹かれる理由がなんとなく伝わってくる。
夢をもち無心に突き進み、現実に対して"上の空"な彼だからこそ好きなのだが、地を歩いて生きる自分と同じ場所に降りてきて欲しいという願いをすてられない彼女。空で渡された婚約指輪を受け取らなかったシーンでは二人のすれ違いを克明に描き、その後の気まずさは、二人の別れを予感させる。
彼のメッセージが降りてこなかったように、結局彼自身も彼女のもとに戻ってくることはなかった。
若さ故のすれ違いを描く切ない失恋ストーリーだ。

前者の話と後者の話は、ほとんどつながりがない。(ラスト、ジロウが村上のメッセージを読むが結局それについては語られないし。)
別々の話をひとつの映画にしたことで観る側はいまいち集中できないが、気球クラブで両者をつなげ、その対比を引き立てたという点ではよかったのかもしれない。
気球のようにふわふわと話が展開しながら、しっかりと中身はある映画だった。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 切ない
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