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パンズ・ラビリンス (2006)

EL LABERINTO DEL FAUNO/PAN'S LABYRINTH

監督
ギレルモ・デル・トロ
  • みたいムービー 1,255
  • みたログ 5,116

3.84 / 評価:2459件

<転生>肉体は滅びても魂は永遠に。

  • cyami さん
  • 2007年10月7日 14時27分
  • 閲覧数 4967
  • 役立ち度 161
    • 総合評価
    • ★★★★★

想像力が必要ですが傑作です。
観終わったあと、しばらく席を立てませんでした。

悲哀に満ちたテーマ曲(子守り唄)と
目を覆いたくなるような残虐なシーンの数々。

でも、人は死後、肉体を脱ぎ捨てても“魂は不滅である”
という視点に立つと、
闇、絶望からの“光”を強く訴えかけている作品でした。

残虐で悪魔の化身のような独裁者ビダル大尉と、
子どもでも愛に溢れ、ピュアで崇高な魂の持ち主である
オフェリアとの対比を際立たせ、
その行く末を描くことで、大切なメッセージを発信しています。

冒頭のすすり泣きと子守り唄、少女が血を流しているシーンは
ラストの方で繋がってきます。


オフェリアは妖精に導かれ、ラビリンス(迷宮)で守護神パン(牧神)に会い、
魔法の王国のプリンセスの生まれ変わりだと告げられ、
その証拠である“印”を見て確信します。

そして3つの試練を課せられますが、偉大なる叡智と繋がっているオフェリアは
聡明で常に直感に従って行動します。

2つめの試練で、ある目的のため壁の向こうの世界へ行き、
「決して食べたり飲んだりしてはいけない」と言われていたのにも拘わらずブドウを食べてしまいます。

この世界では、ここに来た子どもは、つい食べ物に手を出したくなる“魔力”が働いていたんですね。

それは人間は誰でも“欲”を持ち、その弱さ故につい過ちを犯してしまうこともある、
ということを示してくれます。

でも、パンは再びチャンスを与えてくれ、3つめの試練で弟をラビリンスへ連れて行くよう言われますが、パンに弟を渡すことを拒否します。
「魔法の王国に戻れるのに」と言われても(試されても)、自分の幸せよりも弟を守ること、見返りを求めない無条件の愛を選択したことで試練をクリアします。

この結果、初めの『すすり泣き、子守り唄、血を流している少女』のシーンが訪れますが、肉体の死は不幸で全ての終わりを意味するのか否かという“ボーダーライン”として意味を持たせるため、あえて冒頭に持ってきたのだと思いました。

一方、ビルダ大尉は追い詰められ、赤ん坊を渡して「この子に父親のことを教えてくれ」と頼みますが、「名前すら教えないわ!」と拒絶されます。
これは、“散々酷いことをしてきて、最期になって願いを聞いてほしいと思ってもそうはいかない”という因果応報もしっかりと示しています。

オフェリアは試練を乗り越えたことで、赤い靴に美しい服をまとい、
ゴールドの光がさんさんと注がれる愛と平和の世界(天)へ…。

今までこれでもかというほど“闇”を描いたことによって、
このラストが生きてくるのだと思います。

遺されたメルセデスは、子守り唄を歌い嘆き悲しみますが、
オフェリアの魂は永遠に生き続けるという“印”を象徴している小さな白い花は希望そのものです。


母の葬儀のシーンで、「神はあなたの心の中にいる」とありましたが、

“人は人生という試練・修行の場で無償の愛を発露し(=心の中にいる神を表現し)、
より神に近づくために転生(生まれ変わり)を繰り返し、この世に生まれてきています。
でも今の「私」として生きられるのは一度きりです。
そんなかけがえのない時間を、今この時、この一瞬一瞬を愛おしみながら生きていきましょう。”

そんなメッセージの込められた作品でした。

詳細評価

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