ここから本文です

フランシスコの2人の息子 (2005)

2 FILHOS DE FRANCISCO - A HISTO'RIA DE ZEZE' DI CAMARGO & LUCIANO/TWO SONS OF FRANCISCO

監督
ブレノ・シウヴェイラ
  • みたいムービー 174
  • みたログ 391

3.86 / 評価:102件

かつての日本が持っていた「家族愛」

  • ben******** さん
  • 2007年6月25日 23時43分
  • 役立ち度 2
    • 総合評価
    • ★★★★★

ブラジル音楽界のスーパースター、『ゼゼ・ヂ・カマルゴ&ルシアーノ』という兄弟デュオの、実話に基づくサクセスストーリーだ。
もちろん私はこのデュオのことはまったく知らなかったし、ブラジルといえば、「サンバ」と「ボサノバ」.......、この2つしか知らない私にとっては、こういった未知の音楽に触れられること自体、新鮮な体験だった。

フランシスコというのは、彼らの父親の名前だ。
この父親がまた「思い込んだらまっしぐら」という人で、自分自身が貧しい小作人であるが故に、「貧困から抜け出すには音楽で身を立てるしかない!」との思いで、2人の息子を何とかミュージシャンに仕立てようとする。

地主への地代の支払いを後回しにしてでも、ありったけの金をはたいてアコーディオンとギターを購入する。
村まつりがあるたびに何とかそこで歌わせようと奔走する。
果ては息子たちのレコードデビュー直後に、自分の給料を全部コインに換えて、職場の同僚に配ってラジオ局にリクエストをするように依頼する.......。
このあたりなんだか、日本で言えば『さくらパパ』あたりを彷彿とさせる。

ただ現在の日本と決定的に違うのは、彼の家庭の貧困さもさることながら、音楽で売り込んでいくための「ノウハウ」が皆無であることだ。
今の世なら、ちょっと歌の上手い子であれば、何らかのオーディションを受けさせるなり、数多の手段があるから苦労はないが、この時代(1970年代)のブラジルの、しかもかなり内陸の田舎ではどうしようもない。

貧しく、且つ選択肢の乏しい暮らし、しかも子だくさん(フランシスコ家は7人).......そう、それはかつての日本の姿そのものなのだ。
それは私よりももうちょっと上の世代の方の話になるだろうが、何も無い代わりに、今とは比べられないほどの「家族愛」があったはずだ。
まさにこの映画で描こうとしていたのも、そういった普遍的な「家族愛」なのだろうと思われた。

フランシスコの餌食(?)となって音楽に関わり出した2人の息子も、おそらく最初は“いやいや”やっていたんじゃないかとも思われたが、あまりの貧困に耐えかねて流した母親の涙を見て、カネを稼ぐためにコッソリと「ストリートミュージシャン」として歌っている姿、そしてビッグになった彼らがステージ上で両親と交わした熱い抱擁........。
最後には彼らはきっと、彼らの両親に対する感謝の気持ちで一杯になったことだろう。

いまどき「家族愛」という言葉も何となく陳腐な響きを帯びてはいるが、地球の真裏のこんな彼らの姿を見ていると、単に私たちがどこかに置き忘れてしまった何かが、地球上のいたるところに脈々と息づいていることを、思い知らされる気がするのだ。
そしてそんな気持ちを忘れてしまっている我々日本人には、最早「先進国」という称号を名乗るだけの価値も無いのかもしれない、そういうふうにも思わされた。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 未登録
このレビューは役に立ちましたか?
利用規約に違反している投稿を見つけたら、次のボタンから報告できます。 違反報告
本文はここま>
でです このページの先頭へ