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フランシスコの2人の息子 (2005)

2 FILHOS DE FRANCISCO - A HISTO'RIA DE ZEZE' DI CAMARGO & LUCIANO/TWO SONS OF FRANCISCO

監督
ブレノ・シウヴェイラ
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  • みたログ 391

3.86 / 評価:102件

単なるサクセスストーリーではなかった!

  • Kurosawapapa さん
  • 2007年7月17日 15時45分
  • 役立ち度 30
    • 総合評価
    • ★★★★★

フランシスはどことなく無鉄砲で無責任。
子供を7人も作り、音楽を全く理解していないのに、音楽が自分達の貧困という窮地を救ってくれる神様からの贈物だと信じています。
そんな夫でも、貧乏でも、必死に家族を支える妻エレーナ。
そんな父でも、決して否定することのない子供達。

一般的には、父親は息子が超えなければならない存在、というところが有り、父も子もそれを望むことが多々あります。
しかしこの作品では、父親の稼ぎが足りなければ子供達が頑張り、力不足の父親を責めることも無く、父親に完璧を求めません。
父親自身も、尊敬される存在でなくても構わなく、ダメなところを惜し気も無く子供達に見せます。

父親は父親なりに必死なのです。
長男のミロズマルが仕事るす父フランシスに昼食を持っていく2回目のシーンで、父親の仕事を見つめるミロズマルの目がとても印象的でした。
父親を見守るような、愛に溢れた優しい眼差し。
だめな父親でもそれを理解し、受け入れてあげる温かい家族があります。
父親の失敗で、家族がまとまっていくところさえあります。

それはきっと
不器用でどうしようもないけれど、強くて愛情一杯の父親だからでしょう。
そして父親の威厳を損ねない、妻や子供達の思いやりがあるからでしょう。

真の家族愛という、あるべき姿がそこにあります。
少子化、いじめ、虐待など、現在の日本のかかえる問題とは、全く無縁の世界です。


出演した役者さんも、みないい演技を見せていました。
特にミロズマルとエミヴェルを演じた2人の歌は本当に良かった。
家族のことを歌い、ハモるシーンは、2人の愛くるしさと相まって、感動で鳥肌が立ちました。
エレーナ演じたジラ・パエスも、こよなく家族を愛する、強い母をとてもリアルに演じていました。

ただ流れ的に、前半はとてもテンポ良く進行していましたが、ミロズマルが大人役に代わって、恋愛を経験したり、歌が売れなくなったあたりは、スローな流れになり、展開が鈍く、少々見疲れました。


この物語は、一見山有り谷有りの人生を描き、最後はハッピーエンドのように見えます。
しかし、自分的には、決して幸せ一杯で終わったようには見えませんでした。

後半、フランシスが、「夢をどこで間違ったのだろう?」と言った時、エレーナが「私は子供を(必死に)育てただけ」「夢はあなただけの夢でしょ」というシーンがあります。
夫婦愛に溢れていても、どこか突き放したような台詞です。

兄弟はトップアーティストとして大ブレイクし、家族が幸せになったようなエンディングを迎えます。
しかし、その裏にはエミヴァルの死があり、失ったものはかけがえの無いものです。
その悲しみに代わる幸せなど、決して無いでしょう。
そしてその悲しみを一生背負って生きてゆかなければならないのです。

幸せばかりの人生など決して無い、ということ、しかし家族の信頼と愛があれば、幾多の困難も乗り越えていける、ということを感じさせます。

この映画は、単なるサクセスストーリーではなく、真実の家族の物語として、愛、笑い、幸せ、苦悩、悲劇が存在しています。
124分という上映時間の間に、生き方や考え方を含めて、人生の縮図を見たような、そんな作品でした。

詳細評価

物語
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音楽

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