ル・ピュイ~サンティアゴ、巡礼の旅
- 一人旅 さん
- 2017年12月24日 23時11分
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コリーヌ・セロー監督作。
キリスト教の聖地を目指して旅する9人の巡礼者の交流を描いたロードムービー。
『赤ちゃんに乾杯!』(1985)『女はみんな生きている』(2001)の女流監督コリーヌ・セローによるロードムービーの秀作で、フランスのル・ピュイからピレネー山脈を越えてスペインにあるキリスト教の聖地サンティアゴ・デ・コンポステーラまで徒歩で巡礼の旅に出た9人の巡礼者の冒険と交流の日々を、太陽の光が煌めく美しい自然風景や、大聖堂の絢爛豪華なキリスト教建築、巡礼者を泊める宿泊所と巡礼証明のために押印されるスタンプといったキリスト教巡礼路における独自文化が垣間見える描写の中に綴っています。
母親の遺言に従い渋々巡礼の旅に参加するハメになった三兄妹(アル中の妻が心配な会社社長の兄、信仰心が皆無で高校教師の妹、常に金欠で無職の弟)を始め、抗がん剤の副作用による坊主頭をコンプレックスに思う女性、失読症に悩むアラブ人など、それぞれに事情や悩みを抱えた9人の男女が聖地サンティアゴを目指し一緒に旅する中で、自身の人生を見つめ直し新たな未来へ向かってそれぞれが歩み始めていくまでのプロセスを描き出しています。仲が悪かった三兄妹は巡礼の旅を通じて少しずつ兄妹の絆を取り戻し、悩み多き他の仲間も決して楽ではない徒歩の旅を通じて困難に立ち向かう勇気と覚悟を磨いていく。美しい風景に辺り一面を囲まれた巡礼ロードムービーであると同時に、共に旅する9人の仲間の友情(+愛情)とそれぞれの精神的成長を描いた群像ヒューマンドラマとしても出色の出来です。巡礼者の悩みのタネが幻想的悪夢として映し出されるシーンも凄烈に印象的ですし、個性豊かな9人が織りなすコミカルな掛け合いが笑いを誘います。
※本作の目的地サンティアゴはチリの首都サンティアゴ・デ・チレではなくスペイン北西端部に位置するサンティアゴ・デ・コンポステーラのこと。ローマ、エルサレムと並びキリスト教三大巡礼地の一つに数えられます。フランスからサンティアゴを目指すルートはいくつか存在するようですが、本作では「ル・ピュイの道」ルートを辿った巡礼旅が描かれます。
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