2007年3月10日公開

約束の旅路

VA, VIS ET DEVIENS/GO, SEE, AND BECOME/LIVE AND BECOME

1492007年3月10日公開
約束の旅路
4.3

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作品情報上映スケジュールレビュー

あらすじ・解説

1984年、9歳の黒人の少年(モシェ・アガザイ)は、ユダヤ人を装いスーダンの難民キャンプからイスラエル行きの飛行機に乗り込む。到着後、彼はシュロモというイスラエル名をもらい、ヤエル(ヤエル・アベカシス)とヨラム(ロシュディ・ゼム)夫婦の養子となる。彼は新天地で新しい生活を始めるが、黒人への差別は激しかった。

シネマトゥデイ(外部リンク)

作品レビュー(50件)

切ない23.1%泣ける21.7%悲しい16.1%勇敢8.4%知的7.7%

  • ころりん

    3.0

    複雑な複雑な近代史

    イスラエル共和国の建設が、エチオピアのユダヤ人末裔「ファラシャ」のイスラエル「帰還」(モーセ作戦)や、アフリカの飢餓問題、そして、イスラエル内での差別意識などとからみあって、複雑な様相を呈した、という話。 そこに翻弄される若者、家族、ラビ、恋人、友人たち。 「戦争反対」とか「武力もやむなし」とか、そんな簡単に言い切れないほど、暴力的な対立って根深い。 母がすばらしい、っていうか、その正直さ、やさしさ、忍耐に、ありがとうっていいたくなる。 苦しい痛みと衝突をかかえながらも、血のつながりがない同志が、血よりも濃い家族になっていく姿は、ぼくにとって胸を打つナラティブ。

  • pan********

    5.0

    生きて「何か」になるために。

    1984年。 ファラシャと呼ばれる エチオピアに住むユダヤ人たちが 一斉にイスラエルへと移送された。 スーダンの難民キャンプにいた 9歳の少年はユダヤ人と偽り この大規模な移送作戦に紛れ込んだ。 無事にイスラエルへ到着し シュロモという新しい名を手に入れた少年。 しかし身寄りをなくした彼は 養子として引き取られ たった一人で見知らぬ国で生きることになる。 凄い映画を観た、というのが率直な感想でした。 2時間半という長さを全く感じませんでした。 それどころか、これほど壮大な物語を よくこの時間でまとめたなと思いました。 物語は主人公の運命を大きく変える 「モーセ作戦」から始まります。 難民キャンプから脱出するために 列を作るユダヤ人たち。 それを見て少年の母親は彼に言います。 「行きなさい。生きて、何かになりなさい。」 それは母親にとってギリギリの選択だったと思います。 出来ることなら育ててやりたい。 大きくなっていく姿をずっと見ていたい。 でも彼を生かすためには、別れるしかない。 その母親の気持ちが痛いほど伝わってきて 観ていて胸が張り裂けそうになりました。 無事にイスラエルへ到着し 初めて靴下を履き、初めてフォークを使い これから夢のような生活が 待っていると思っていた彼ら。 しかし、現実は違っていました。 イスラエルのユダヤ人たちの中には 肌の黒い彼らをユダヤ人だと 認めない人たちも多かったのです。 そして、豊かな暮らしを手に入れるため ユダヤ人であると嘘をついて 逃れてきたのではないかと いつも疑念の目で見られていたのです。 シュロモも、自分の抱える秘密と 周りからの差別に苦しんでいました。 そんな彼を支えたのは養母でした。 ある日養母が学校へシュロモを迎えに行くと 生徒たちの父母がシュロモを 快く思っていないことを聞かされます。 彼がいると成績が下がるという。 彼は誰よりも優秀なのに。 彼がいると伝染病が心配だという。 彼の吹き出物は差別によるストレスでできたのに。 そんな一方的な偏見を 吹き飛ばすように養母は叫びます。 「私の息子は世界で一番美しい!」 そんな養母の強い愛に守られて シュロモは成長していきます。 物語は、小さなシュロモが 立派な青年になるまでを追いかけます。 たくさんの困難とたくさんの葛藤と たくさんの孤独を乗り越えたシュロモは 母と約束したとおり「何か」になります。 養母をはじめ 彼を見守り続けてくれたたくさんの人の愛と なにより生かすために 自分を行かせてくれた母の愛があったから。 そして、そんな母との約束を守り その姿を母に見せたいという思いがあったから。 最初から泣きっぱなしでしたが 終わってからもなかなか 嗚咽をとめることができませんでした。 この映画はフィクションですが 監督が実際に「モーセ作戦」で 生き延びた人たちの話を聞いて この映画を作ろうと思ったのだそうです。 「モーセ」作戦はユダヤ人の同志たちを 飢餓や貧困から救うために行われたと言われていますが その一方で増え続けるパレスチナ人への対抗手段として 政治的理由で行われたとも言われています。 8000人のエチオピア系ユダヤ人が イスラエルへ移送されましたが 4000人がその途中で 飢えや襲撃により命を落としました。 この移送で生き延びた人もたくさんいるでしょう。 しかし、生き延びた人も命を落とした人も 政治や、時代の犠牲者であることには 変わりないと思います。 ラストシーンを観たとき この話はこの国の、この地球のほんの一部分に過ぎない という監督のメッセージが聞こえてきた気がしました。 その場所は世界の片隅なんだなと思いました。 そして、私の居るこの場所も世界の片隅。 世界に中心なんてない。 みんな、片隅なんだって思いました。 レンタルDVDにも特典映像として 監督と、シュロモを演じた俳優さんの インタビューが入っています。 これもぜひ観てほしい。 そして、そこで監督も言っているように 物事にはいろんな側面があり 私たちはあらゆる角度から 物事を見る必要があると思います。 映画も作品によって いろんな角度から撮られています。 例えば、私がこの作品と同じくらい衝撃的だった 「パラダイス・ナウ」 という作品があります。 この映画にはパレスチナ側から見た イスラエルが描かれています。 どちらもひとりでも多くの人に 観てもらいたい映画です。

  • oon********

    5.0

    言葉を失いました。

    ユダヤ人に関してはナチの迫害、イスラエルとパレスチナの問題くらいしかしりませんでした。エチオピア系ユダヤ人という方たちについての「モーゼの作戦」について恥ずかしながら初めて知りました。 日本人の一般的価値観には理解できない社会、価値観、感情があり、その中で生きるか死ぬかの狭間で生き抜く人たち、しかも主人公は本当のユダヤ人ではないというさらに複雑な内容でした。全く持って知らない世界で何が起こるか予測不能で緊張感をもって見ました。イスラエルにたどり着いてもユダヤではないとばれてエチオピアに強制送還されるのではという緊張感があり、秘密を持つが故の少年の孤独感と絶望感と怒りの織り交ざった 自閉的で凶暴な感じがとても表現できていました。 監督はこの作品は自分と世界の母親に捧げる作品だと言われていました。 この作品には3人の母親が出ていました。(でも主人公の奥さんを含めると4人になると思いますが)一人目は本当の母親、生きる希望の内世界で一筋の光を求めて子供と一生の別れを告げて送り出す母親。息子を亡くしたばかりで本当の子供と偽って亡命の手助けをしてくれたがイスラエルで病で倒れ主人公を心配しながら亡くなる母親。 そしてなれない土地で心を閉ざす主人公の心を強く温かく支える養母。それでも本当は受け入れることを反対していて葛藤があった事。どれも印象深かったです。 そして主人公の奥さんが白人でそのことでの人種差別問題。なんか語ることが多くて伝えきれない程の映画です。最後のエンディングの実の母親との再会での彼女の声が忘れる事ができません。私も嗚咽しそうになってしまいました。とりあえず余韻に浸りたいです。

  • いやよセブン

    5.0

    黒人のユダヤ人

    1984年、イスラエルはエチオピア在住のユダヤ人を、スーダンの難民キャンプから飛行機で脱出させ、イスラエルに受け入れる“モーゼ作戦”を実行した。 主人公のシュロモ少年は9歳、母親と二人で難民キャンプにいたが、母親は子供を亡くしたばかりのユダヤ人女性に頼み、シュロモをその女性の息子と偽って出国させる。 この母親の息子の将来を思う気持ちはせつない。 イスラエルに入って直ぐにその女性は亡くなり、「あなたはユダヤ人、決して本当のことを言ってはいけない」と言い残す。 この母親が2番目だが、亡くした息子とシュロモをかぶせるところが痛い。 そしてフランス系ユダヤ人夫妻に養子としてもらわれる。 実子として男女一人づつがいた。 この母親が3番目で、同じようにシュロモを守る姿が母という共通概念を思い起こさせる。 映画はシュロモがいろんなトラブルにまみれ、周囲の愛情あふれる支えにより成長していく姿を描く。 自分にとっての祖国とは?この問いかけに簡単に答えられる人は幸せだと思う。

  • tkj********

    5.0

    絆はどこにあるのか

    初めて書きますが、これは、多くの方に観て頂きたい作品だと思いました。 劇場で観た「オーケストラ!」にフルフルするほど感動し、 DVDで観てさらに震えが止まらず、 この監督の別な作品が観たくて検索し、この作品の鑑賞となりました。 本編の前にDVDの特典を観たのですが、そこで監督は 「この映画は、世界の母・女性に捧げるために制作した」 と語っておられて、 アレ?って感じがしました。 この映画って、民族問題がテーマだと思ってたからです。 でも、中盤になると納得してきました。 エチオピアの山中に何千年もの間、 ユダヤ教を信じ聖地へ戻ることを信じて生きてきた黒い肌のユダヤ人がいた。 飢餓と内政混乱に苦しむエチオピアから彼等のみを救出する作戦が 1984年から数回に分けイスラエルによって実行された。 この主人公シュロモは、キリスト教徒であったが、 母は、子供を亡くしたユダヤ教の女性にこの子を託す。 生きてほしいから。 この映画で取り上げてる惨劇、 それは、エチオピアにおいての飢餓とか脱出のための4000人に及ぶ犠牲 エチオピア内で異端者としての差別・迫害が主ではないと思えてきます。 その後のイスラエルにおける人種差別にポイントがあるようです。 安堵感と希望でやってきた国での失望です。 それに加えて、 ユダヤ人と偽って国を出たシュロモにとって 幼い時から秘密を抱えてきた苦しみと自分が何者なのか答えが見つからない苦しみがありました。 自分の国はどこ? 自分はナニ人? 自分はナニ? 主人公の20年以上の自問を自分に置き換えると、 民族ってナニ? 日本って? 日本人って? 自分の存在って? そこに、つながって行くような気がします。 主人公の母は、彼を生かしたかったのです。 寂しいとか、愛してるから傍に置きたいなどといった感情を遥かに超えたもの。 その実母の母の気持を、手を取って国から連れ出してくれた母も育ての母も越えられないことは 充分に分かっていたと思う。   サラが言ってました。 「わたしは、あなたが白人だろうと黒人であろうと、 そしてユダヤ人であろうと、そうでなかろうとかまわない。 シュロモ、あなたを愛したの」 むしろこの映画は綺麗過ぎで、理想を語ってるのかもしれない。 日本の隅っこで家族のことと仕事のことだけ考えてる自分には、 到底分からない民族、人種間の紛争での精神的苦痛、生死の危険にさらされてる人たちが沢山いると思う。 でも、そんな灰の中にある一粒の輝きをこの映画は、 さらに灰を掛けて葬り去ることはしない。 三人の母と妻の愛。 そして、自分の後に続く我が子への愛。 自分がナニ人であろうと、 自分を愛して生かしてくれ人たちと愛し育む小さな命との絆は確かに存在する。 最後の母の叫びは何だったのか? 私は、恨みでも政治に対する怒りでもないと思います。 「感謝」、「喜び」だったと思う。 だって、この母の願いがかなった瞬間なんですよ。(大泣き) ラデュ・ミヘイレアニュ監督、大好きな監督が増えました。 「オーケストラ!」でもそうでしたが、 民族問題の悲劇を伝承するだけではなく(もちろん、大切なことです) そういった悲惨な思いを救ってくれるものは何か? 悲劇を繰り返さないことも大切ですが、 起きてしまったことを治療してくれるものは何か? 問いかけてきます。 都会の片隅で膝を抱えている若者も、 あなたを必要としてる人があることを忘れないでほしい。 余談 民族問題を題材にした映画のレビューは、難しいです。 語っていいのだろうかと思う事もしばしばです。 この監督は、この映画で政治は語ってないと話してましたが、 私も、この映画に関しては、自分の立場で語れるような気がしました。 思い切って、投稿いたしました。

スタッフ・キャスト

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基本情報


タイトル
約束の旅路

原題
VA, VIS ET DEVIENS/GO, SEE, AND BECOME/LIVE AND BECOME

上映時間

製作国
フランス

製作年度

公開日

ジャンル