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パラダイス・ナウ (2005)

PARADISE NOW

監督
ハニ・アブ・アサド
  • みたいムービー 284
  • みたログ 469

4.01 / 評価:175件

普通の人々

  • 一人旅 さん
  • 2017年5月17日 23時36分
  • 閲覧数 783
  • 役立ち度 8
    • 総合評価
    • ★★★★★

ハニ・アブ・アサド監督作。

イスラエルに対する自爆テロへと向かう二人のパレスチナ人青年の葛藤を描いたドラマ。

今なお解決には至っていないパレスチナ問題を、自爆テロに向かうパレスチナ人青年の視点で見つめた作品。パレスチナ自治区・ヨルダン川西岸地区の町ナブルスを舞台に、敵国イスラエルへの報復として自爆テロの任務を負わされた二人のパレスチナ人青年、サイードとハーレドの苦悩・葛藤と二人を待ち受ける運命を描く。

ポイントはサイードとハーレドが自動車修理工場で働くごく普通の青年だということ。別に悪さはしないし、家庭環境も良好、さらに特別イスラム過激思想に染まっているわけでもない。そうしたどこにでもいる普通の青年が、イスラエルに対する抵抗組織から自爆テロの命を受け、やがて人生の歯車を狂わせてゆくさまを緊迫感とリアリズムに満ちた描写で映し出す。

恐らく自爆テロに対する世間の一般的イメージは、“狂信的なイスラム過激思想信仰者の犯行”。だが、自爆テロへと向かうサイードは当たり前に苦悩する。
「これから自分たちが行う自爆テロは正しいものなのか?」
「命を捨ててまで敵に報復する必要はあるのか?」
当然の疑問が頭をよぎる。そうしたサイードの姿とは対照的に、ハーレドは自爆テロを崇高な任務と受け止め、テロ実行を躊躇するサイードに反発する。しかし、やがてハーレドにも心境の変化が訪れると同時に、自爆テロに疑問を抱いていたサイードは半ば狂気的にテロを肯定するようになってゆく。

自爆テロを実行するのはサイードたちのように過激派組織の末端に取り込まれた捨て駒のように些細な人々。神の名を持ち出しあたかも自爆テロが100%正当性のある行為だと盲目的に信じ込ませ、実行に移させる。組織の上層部は変わらず、末端の人間だけが自分の命を犠牲に自爆する…その終わりなき繰り返し。自爆テロはただ単純に過剰な信仰心に突き動かされた結果起こるのではない。ごく普通の若者を神の名のもとに利用する組織の思惑が深く関与した自爆テロの不条理な内部実態が浮き彫りにされる。

画面が真っ白に染まる唐突な幕引きと沈黙のエンドロールが凄烈に印象的。「どうして?」という疑問が頭から離れない。

詳細評価

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