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パラダイス・ナウ (2005)

PARADISE NOW

監督
ハニ・アブ・アサド
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  • みたログ 471

4.01 / 評価:177件

視野狭窄の罠

  • ぼんおう さん
  • 2019年9月14日 18時28分
  • 閲覧数 391
  • 役立ち度 1
    • 総合評価
    • ★★★★★

パレスチナ問題に対しあまりに浅学であったことに今さらながら気づき、映画化されているものがないかと探したところ、本作に行き当たりました。

観た感想を一言で表せば、切ない。これに尽きます。

普通の青年であるサイードとハーレド(サイードのほうはちょっと事情が込み入ってますが)を巧みに扇動し、組織の捨て駒に仕立てる過激派グループ(IS(イスラム国)のよう)。

“自分が損傷しても 敵も打撃を被(こうむ)る”

サイードとハーレドにお仕着せの声明文↑を読み上げさせる過激派グループですが、当の自分たちは犠牲になる気はさらさらない余裕のゲスっぷり(声明兼遺言ビデオを撮るくだり)の描写は秀逸です。

“アッラーは不義の徒を愛さない”
いや、、それお前らだから( ゚д゚)ポカーン

とはいえ、イスラエル(ユダヤ人)の占領に対する憤りは(もちろん対抗手段に首肯はできませんが)充分に伝わってきます。
過激派グループの爆弾技師の手は、イスラエル人の仕業か“労災”か。
(後者だったとしても、それでもなお「仕事」を続ける強い意思がある)

思いを寄せるスーハ(「灼熱の魂」で孤高の母を演じたルブナ・アザバル)と翻意したハーレドが差し伸べる手を取れず、最後は怨讐と絶望が「勝って」しまうサイード。

救われるのは、本作はパレスチナ人であるハニ・アブ・アサド監督が、イスラエル人プロデューサーと共に作りあげた作品であるということ。

民族や国同士では敵対し合っていても、一人一人は必ずしもそうではない。
拝金主義マスコミ、頭に血が上り易いノイジーマイノリティに扇動され、泥沼化の道を行ってはいけない。
(「口だけ番長」たちは己が言動がどんな結果を招こうと、決して責任を取ろうとはしない)
彼らとは(少なくともある程度の)距離を置く独立系ジャーナリストの仕事はもっと評価されていい。

2019.9.25追記:
この8年後にアサド監督が撮った「オマールの壁」は、サイードの父の立場、密告者の視点で描かれた作品です。
※本作のキャラは出てきません。あくまで密告者/裏切り者という意味

両作とも全ての人が知り、観るべき一本だと思います。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 絶望的
  • 切ない
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