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パラダイス・ナウ (2005)

PARADISE NOW

監督
ハニ・アブ・アサド
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  • みたログ 565

3.97 / 評価:188件

限られた選択肢は涙すら奪う。

  • tis***** さん
  • 2008年5月26日 12時28分
  • 閲覧数 321
  • 役立ち度 28
    • 総合評価
    • ★★★★★

スーツを着込んだ男が街を歩く。
日本でも、いや、世界中で見られる光景。

瓦礫の中、荒廃した街を歩くスーツの男。
目的はなんだろうと疑問に思う光景だ。

「平等に生きられなくても、平等に死ねる」
重くのしかかるその言葉。

誰もが平等に生きる事を願う為に選択する死。

生きている上で「死ぬ事」が選択肢にある事が日常。

涙を流す事より先に死を選択する彼ら。
会った事も無い存在の為、その自分の価値の為、それが人の為。
おちゃらけ日本人の私には理解不能なその世界。

しかし、考えさせられる映画だ。
彼らは生まれながらにして、「殉教」という言葉と背中合わせにいる。

旗を掲げ、銃をかざし、高らかに死を宣言するあの映像。
「私は死を恐れない!」と叫ぶ。世界中に聞こえるように叫ぶ。
私達は時折それを「悪の行為」として報道され、見ることがある。

そのたびに疑問をもち、何の為に・・・と考える。

その背景にある彼らの選択肢を観た。
それは選択ではない。そこに向かって進んでいた、到着点である。
今まで理解できない世界に、少しのためらいを持ちながらも「そうなのか・・・」と共感までは行かない、落胆ともいえる感情が沸いた。

明日、死ぬ。
爆弾を体に巻いて、潔く、そして、その死を待つものの為に火をつける。

限られた選択をしてはじめて感じるその恐怖。
震えるだろう。
・・・・・涙を流したいだろう。

地球という一つの星では絶えず境界線があり、そして世界が分離する。
攻撃的な世界と保守的な世界が混ざり合い、血が流れる。

誰かに奪われた命ではなく、自ら絶つ命の数も多いのだ。

先入観もなく、レビューの好評に押され鑑賞。
ようやくこの映画に対して書こうと思えた。

「また会える」

そんな言葉を残して死んでいく若者。
その若者を送り出す、人生を生きて長い人々。もうわかっているだろうに・・・。

欲求はすべて押し殺し、腹に巻きつける「時間を止める」導火線。
恋ですら、燃え上がる事が無いのに・・・・・。

何にまた会える?
本当に恐れていない?

あなたは手榴弾でも大砲でもない。
「人間」なのに。

今日もスーツに袖を通した。
仕事の為に。
すこし背筋がぴんとした。
上着の重さをかみ締めた。

生きる為に、楽しむ為に仕事をしている。
スーツの皺が気になった・・・・・そんな事どうでも良いのに・・・・・。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 悲しい
  • 絶望的
  • 切ない
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