見なくてはいけない映画だと思います
- mn2***** さん
- 2008年7月6日 1時59分
- 閲覧数 297
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- 総合評価
ずっと前、お気に入りのレビューアーさんから紹介され、
絶対見るって、手帳に赤字で題名書きました。
内容は忘れ、題名だけが残り、
「今が天国」って。恋愛映画みたいに思い続けてきました。
今日レンタル屋で、やっとDVD見つけ、驚きました。
「パラダイスは、死ぬ瞬間にある」って題名です。
パレスチナが舞台です。
実は、私は、「自爆テロ」と平気で言ってきました。
この映画を見て、「自爆テロ」ではなく、本当は「自爆攻撃」なんだとわかりました。
イスラエルのパレスチナ占領地区。
職もなく、娯楽(映画館も)もなく、
あるのは、退屈、絶望、尊厳のない人生です。
そこに暮らす若者二人。
「組織」から、イスラエル報復のため「自爆攻撃」するよう指名を受けます。
映画は、その後の48時間を描きます。
指名されたのは、フツーの若者です。
ちゃらんぽらんな感じもする、どこにでもいるような子たち。
直情的に「聖戦(ジハード)」とか言って、行動するものでありません。
悩み、苦しみます。そして、最後に、
「地獄で生き続けるよりも、想像上の天国を選ぶ」と。
若者たちを「自爆攻撃」に連れ出すのは、「組織」です。
「組織」は、いつでも、どこでも、その「組織」の利益のために行動します。
日本軍にしても、この「組織」にしても、
その幹部は、決して「自爆攻撃(特攻)」することはありません。
その辺りのことも、映画は、丁寧に描いていきます。
この映画、何がいいの、悪いのって決して言いません。叫びません。
あくまで静かに、丁寧に、パレスチナの生活を、「自爆攻撃」を描いています。
見終わって、すぐレビュー書けず、この映画のこと、ちょっと調べてました。
この映画を見たイスラエル人は、映画館から肩を落として出てくるらしいです。
イスラエルが、『自爆テロ』による被害の国だけだったものから、
「自爆攻撃」を生み出す加害性もある国だったことを、初めて知ったためだそうです。
この映画を作ったパレスチナ映画監督ハニ・アブ・アサドは、
この映画への思いを、こう語っていました。
「パレスチナ人を近い存在に感じていただければ嬉しいです。
パレスチナの現状を知って欲しい。
『知る』ことこそが、暴力の連鎖をくい止めるのです。」
この映画が描くのは、今の世界の、一番の紛争地域の現状です。
監督の言葉通り、この映画は、多くの人に見てもらいたい。
否、見なくてはいけない映画だと思います。
詳細評価
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