洗脳と葛藤
- mar***** さん
- 2008年9月16日 12時21分
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- 総合評価
「あっちでは自爆すると神様になれるって信じさせられてるんだって。だから、喜んで自爆テロなんか参加しちゃうんだよ。」
「ばかだねえ、どうしようもないねえ。」
9-11テロの起きた後、家族とこんな会話をしながら、むくつけき風貌のテロリストが、何の迷いもなく「俺は神様になるんだ!」とテロ決行に臨む姿を想像していました。
この映画の主役は、自爆攻撃の実行者として選ばれた二人の青年。
閉鎖された社会の中で、自爆攻撃で死ねば天国に行けると信じさせられてきた二人。
しかし、父親が理不尽にも処刑された経験、そして外の社会で過ごした経験のある女性との触れ合いの中で、お国のために自分の命を犠牲にすることが果たして必要なのか、正当なのか、二人は葛藤を深めていきます。
きれいに髪を切って髭をそり、スーツを着込んだ二人の姿が「好青年」なのが、更に同情を誘います。
90分の比較的短い上映時間ながら、盛り込まれたテーマはあまりに大きく、レビューとして短絡的に表現するのが難しいのですが、今までテロの犠牲者の立場しか想像できなかったのが、実行者として選ばれた者の立場についても改めて考えさせられる作品でした。
詳細評価
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- 勇敢
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