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アフター・ウェディング
2007年10月27日公開

アフター・ウェディング

EFTER BRYLLUPPET/AFTER THE WEDDING

1192007年10月27日公開

gir********

5.0

神様のストラテジックチョイス

観れば観るほど分かることがあり、 観れば観るほど分からなくなることがある。 ***** デンマークの女性監督、スザンネ・ビア、 観賞3作目は「アフター・ウェディング」。 ** 映画的な傍観・・・それは、ほとんどにおいて、神の視点だ。 その人物たちに気付かれないながらも、枡席で。 これほど贅沢な遊びは他にないのだが、 多くの「映画が好きではないという人たち」には・・・そのことは内緒にしている。 ***** 彼女の文法、彼女の描きたいことはおぼろげながらも掴めた気がする。 観賞前まではそう思っていた。 「人間味の描き出し」その漠然とした、曖昧なものに輪郭を与える。 見えないものが可視化されているといったほうが良いのだろうか。 さて今回はどんなものが見えるのか、というスタンスを少なからず持って観賞に臨んだ。 ***** スラムドッグ$ミリオネアのすぐあとで観るにはちょっと脆弱なインドの貧民街、 いくらなんでも事業に興味のなさ過ぎる社長、 婚約者とその彼の幸せそうな描写・・・おかしい、何かがおかしい。 気づいた頃には、もう遅かった。 ***** 今回の作品の見どころは「神の手」そのものであった。 明らかに、神の手が、映画を動かしているのだ。 ほぼ全ての映画は「監督」という「絶対の神の手」によって作られる。 だが、この神の手自体を、作品鑑賞の中で意識することは、他の作品ではそうそうなかった。 そうそうなかったのだなあ、と。 ∴*∴*∴*∴*∴* 約30メーター先の的を目がけてストーンを投げ合う。 投げた石の予定進路をブラシでスウィープ、僅かなゴミを拾っても進路は大きく変わる。 カーリングは、北欧勢が強豪として名を轟かせるスポーツだ。 氷上のチェスとも呼ばれている。 ** アフター・ウェディングでは、カーリングのストーンのように 狙ったところに石を投げ、それが見事にゲームを支配していく。 穏やかに、 派手でなくても、 確実に、 石半分だけでも、 状況を動かしていく。 *∴*∴*∴* 監督本人にはその意志はあったのだろうか。 見えないはずの・・・その手が、見える。 そしてその波紋の広がりを、枡席で。 **** ここまで観た3作を均等に評価する人はいないような気がする。 それぞれに愛される要素のある映画群。 甲乙はなかなか付けがたいものです。

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