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アフター・ウェディング (2006)

EFTER BRYLLUPPET/AFTER THE WEDDING

監督
スザンネ・ビア
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  • みたログ 448

4.07 / 評価:156件

良くも悪くも正しくヨーロッパ的な…

  • toratoraborta さん
  • 2010年10月11日 23時44分
  • 役立ち度 6
    • 総合評価
    • ★★★★★

まさにヨーロッパ的なジレンマの映画である。西洋知識人達が考えなくてはいけない問題を炙り出しにしたような内容。解釈を提示するのではなく、関係性を描き出すことが主眼に置かれた映画です。なので、日本の宣伝では超単純にウェットな「末期患者映画」として宣伝していたようだが、背景を無視すればそう見えるかもしれない。

 死にいくヨルゲンはただ悲惨である。最後に清く死にたいという思いはあるものの、それすら監督は無慈悲に退けている。あの凄惨なシーン(苦悩の症状の始まり)の後に、すぐさま葬式にシーンが飛んだのは、どういう計算だろうか。無慈悲にも思えるし、慈悲にも思える。
 さらに、ヤコブは本当に納得して契約を結んだのだろうか。見たところ、ヤコブとヨルゲンの間に友情関係は成立していないままなようである。どちらかと言えば、ヤコブは極めてドライに契約を結んだように思える。決して美談ではない。
 
 あと、ヘレネという妻にも疑問の影が投げかかっている。それは娘のアンが口にした「私のために結婚したの?」という問いだ。それも限りなくリアリストの目線である。この視線から妻は逃れられない。細部を見ていくと、そのように無数の疑惑が投げかけられるところがある。そして、それは「金/資本」という糸によって結ばれている。怖い映画である。

手持ちカメラでずっと進む映像は、個人的にはつらいものがあった。あと、あのスーパークロースアップもスクリーンで見ると辛いものがあるのではないか。

以下、整理するために書いたネタバレである。

 インドの孤児院を営み慈善事業をしているヤコブ。インドで家族がいるわけではないが、我が子のように可愛がっている少年がいる。
 ある日、彼が運営資金の調達のために、実業家からの支援の知らせを受ける。その条件とは、彼との個人面談である。渋々、20年ぶり(?)に祖国デンマークへと帰るヤコブ。
 デンマークで待っていた男の名はヨルゲン。成功者であり、非常に家庭を大切にする善き人でもある。先方に着いたら、まだ寄付先は決まっていないといわれ、招待されたヨルゲンの娘の結婚式に、やむなく参加することになる。そして、そこで思わぬ人間と出会う。それはヘレネという彼が20年前に別れた恋人であった。思わぬ偶然に、ヤコブ胸騒ぎが襲う。
 そして、披露宴のスピーチ。そこで花婿のアンは、自分の父親がヨルゲンではないと聞かされたが、ヨルゲン以外に父親はいないというスピーチをする。アンが自分の娘であることに気づいたヤコブ。すぐさま妻が復讐のために企んでいるのではないかと思う。ついんは、家にまで押し掛け幸せそうな家庭に波紋が立つ。
 事態はすぐさまアンにも知れる。ずっと父親は死んだものだと思っていたアンは、母のヘレネを責める。しかし、どうやらヘレネは父親が死んだと言っていたのは、自分が忘れたかったのかもしれないと言う。当時、ヤクもやるし、飲んだくれでもあったヤコブは信用できなかったのかもしれない。
 そんな中、ヨルゲンは不自然なまでにヤコブと自分たち家族の関係を取り持とうとする。そして、ついには契約をさらに大幅につり上げれると持ちかける。
 自分に損な契約を結ぼうとするヨルゲンの心が読めないヤコブは、ヘレネがまだ何かを隠しているのかもと思う。
 「何でもヤコブに貸すのね」という姑の言葉で、はっと気づいたヘレネ。彼の主治医に電話をすると、真実を知らされる。実はヨルゲンはもう余命幾ばくもない病にかかっていたのだ。
 そして、ヨルゲンはヤコブに1200万ドルの基金を設ける契約を進める。それを、アンと二人で管理して欲しいとのこと、ただ、代わりにデンマークに移住することを条件として盛り込んで提示する。金で何でも支配しようと思うなと、ヤコブはぶち切れるが、ついに、ヨルゲンは真実をヤコブにも打ち明ける。死後に家族達を任せたいという。戸惑うヤコブだったが。丁度この頃、アンが新郎の浮気を目撃し、彼のホテルを訪ねてくる。アンが自分を必要としているという実感を得たヤコブは、現実的に考えれば、自分がインドにいることより、この金で6万人もの子供が助かることを考え、契約を結ぶことにする。
 その後、ヨルゲンの悲惨な死を前にした孤独が描かれるが、あっけなくヨルゲンは他界する。
 インドから引っ越すべく久しぶりに帰ったヤコブは、変わらぬ愛情を自分に抱く少年を前にする。彼にデンマーク移住を進めるヤコブであったが、少年には実感がわかないのか、断られる。さらに、「向こうには嫌な奴ばかりだってこないだ言ってたじゃないか」と言われる。部屋から出て行き、外で遊ぶ少年を見て、ヤコブは何を思うのだろうか…。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 悲しい
  • 恐怖
  • 知的
  • 絶望的
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