ここから本文です

グッド・シェパード (2006)

THE GOOD SHEPHERD

監督
ロバート・デ・ニーロ
  • みたいムービー 734
  • みたログ 2,394

3.30 / 評価:705件

淡々と、それでいて重厚

  • tak******** さん
  • 2011年9月15日 3時56分
  • 役立ち度 1
    • 総合評価
    • ★★★★★

よき羊飼いたちとは、この映画を上手く一言で表している。

1961年ピッグス湾侵攻作戦失敗(打倒カストロ政権を目論んだCIAの作戦)を物語の主軸に据え、一本のテープと写真を元にその情報を漏らした人物の捜査と

主人公であるエドワード(マット・デイモン)がCIAと共に歩んだ役20年間が時代を行き来しながら結ばれていく。

登場人物も多いが、それらが全て伏線となり
彼の人生に関わっていくから、すごい。そして、それらの伏線を上手く回収する手腕に脱帽。

まずは信頼していた大学教授を国家のためとFBIに売ったことが、全ての裏切りへの始点になるのだろう。彼の人生最初の裏切りである。

エドワードががイギリスに渡り英国情報部員として教授とは再会する。
そして、知りすぎた為、ゲイである故にに抹殺される教授。
国家の為にと、初めてエドワードが目の当りにする非情な決断と、
情報員は駒にしかすぎず、仕事の内容次第では、いつ消されるかも分からないという事実
それらが、後の彼の諜報員としての仕事の基底に刻まれたのではないだろうか。

ロシアからアメリカに亡命してきた2人のミロノフとの関係。
ミロノフがバイオリンを弾くシーンへの伏線と、物語の進行は見事でした。
そして、友人だと思っていた英国情報部員のアーチカミングス
彼が渡した「ユリシーズ」の本の意味。そして、裏切り。
そして、ロシアKGBのユリシーズ。
かつての恋人に似せ補聴器を付けた女性の罠と、
FBIのアレンのチョコの下り。

そして、間に挟まれる、テープの解析。

これらの伏線と回収が本当に巧い。
これをデ・ニーロが監督したというのが信じられない。
いくら脚本が良くても、よくここまで淡々と、それでいて重厚に、
よく映像化したものだ。

アンジェリーナ・ジョリーとの夫婦関係の破たんしていく描写もよかった。
最初は情熱的で魅力的だったジョリーが
彼の抱える秘密のせいで、徐々に疲れ、やつれていく

そして、息子。
彼は若き日のエドワードそのものであり、
仕事にかけるエドワードの家庭を顧みない姿勢が生んだ化身でもあった。


忠誠心を疑われ、自殺に追い込まれた父と
汚名を晴らそうと、忠誠心のみで生きてきたエドワード
その対比を、息子を織り交ぜながら
父の遺書の開封で見事に描き切り絶望へと向かう。

信じていても裏切られ、誰も信じず、家族にも言わず
孤独に苛まれていくエドワードを、マットデイモンはよく表現している。

彼の人生ハードすぎて、ちょっと感情移入はできないが
男として、憧れないわけでもない。
KGBのユリシーズとの会話が
同じ立場に身を置く、同じ苦悩を持つ者同士の会話で印象的であった。

きっと何度でも見てしまうだろう
そう思わせてくれる映画だった。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 知的
  • 絶望的
このレビューは役に立ちましたか?
利用規約に違反している投稿を見つけたら、次のボタンから報告できます。 違反報告
本文はここま>
でです このページの先頭へ