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ピアノの森 (2007)

The Perfect World of Kai

監督
小島正幸
  • みたいムービー 340
  • みたログ 757

3.99 / 評価:424件

森のピアノの響き

  • poppies_garden さん
  • 2007年8月2日 20時47分
  • 閲覧数 254
  • 役立ち度 56
    • 総合評価
    • ★★★★★

カイ、君は凄い。
森の中、月の光が降りそそぐようなピアノ。
木々が歌うようなピアノ。
大地の深いところで地球が胎動する響きがきこえてくるようなピアノ。
君のように弾けたら。
君のように音楽をつかまえられたら。
君のように聞く人の心に根を下ろすような音楽ができたなら、他には何もいらない。


素晴らしい映画です。
全ての作品を観るまでもなく、この夏いちばんの映画だと思います。
音楽映画であり、友情がテーマのヒューマン・ドラマであり、人生について考えさせられたりもする。
深くて楽しくて、そして何といっても音楽が桁外れに美しい。
ピアノをフューチャーした映画は数多くありますが、こんな身震いするほどの作品は今までありませんでした。
そして自由奔放なカイが素晴らしく魅力的です。
最初はあの平面的なキャラクター・デザインに不安を感じていたのですが、いやいや、演奏シーンでは絵が変わりますから!
印象的なのはカイと修平の、ピアノに向かうときの眼差し。
あれは演奏中の手や体の動きとともに、実際に演奏する人からトレースしたのでしょうか。
アニメなのにみていてドキッとしました。
そしてアニメならではの、森の幻想的なシーン。
月の光を浴びて神秘的に輝くステージで、カイはピアノを媒介して森を歌わせる。
この表現は実写では作れないものです。
凄いです。

物語は、プロのピアニストを目指す少年・修平の、森にうち捨てられた古いピアノをたった一人鳴らすことの出来る天才少年・カイとの、出会いと別れを描いたものです。
二人の全くタイプの違うピアニストの友情と、それぞれの葛藤。
視点が修平側なので一見、努力の人が天才に対し嫉妬し苦しむ話に見えるのですが、天才肌のカイもまた、ピアノの道を歩き始め、壁にぶつかります。
『自分だけのピアノを弾く』という、何にもとらわれず自由に弾いていた時は思いもよらなかった難問。
修平の方はカイには敵わない、負けた、人を感動させるピアノを弾きたいと感じますが、修平のようにストイックに練習を重ねてこそ築きえる世界があるのも本当で、カイはカイで修平を凄いと思う。
実はカイの困難も修平の困難も、音楽をやる人なら避けては通れない道なのです。
そこで逃げ出すか、踏みとどまるか。
でも二人の道は始まったばかりで、踏みとどまるしかありません。
この映画のラストで、本当の物語が始まるのです。
奇跡のように出会った二人のピアニストの道が、分かれるところで。

二人の別れのシーンは、夕焼け空、オーケストラの響きとあいまって、ものすごく胸に迫りました。
でもこれは本当の別れなんかじゃない。
修平はきっと音大からコンクール・留学と音楽家への王道を歩き、いつか世界のどこかでカイとまた出会うのでしょう。
音楽で結ばれた友情は、その時本当に成就するのです。



この映画は、ぜひ劇場で鑑賞することをお勧めします。
マエストロ・アシュケナージのピアノは本当に音が美しいので、もちろんちょっと位遠出しても音の良い劇場で。
映画としての音の素晴らしさと共にピアノも堪能でき、何十倍も楽しめますよ。
点数は、音楽に関しては星10個でも全然足りませんから!

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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