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クワイエットルームにようこそ (2007)

監督
松尾スズキ
  • みたいムービー 845
  • みたログ 4,053

3.71 / 評価:1184件

大爆笑できて、号泣できる、これが傑作。

  • CONRAD さん
  • 2011年3月30日 23時41分
  • 役立ち度 9
    • 総合評価
    • ★★★★★

精神科閉鎖病棟。
2人部屋というのは基本的には珍しい。
多いのは4人部屋。
最近の精神科病院のセールスポイントは、個室の部屋数が多いこと。
外観的にはホテルのようなスタイリッシュな内装の病院が、徐々にだが増えてきている。
一方では築ウン十年と経つ建物で、だだっ広い畳の部屋に雑魚寝状態なんて状況も、現存している。
一般的な病院とは違い、建物を出入りする扉には鍵がかかっている。
その鍵は職員しか持っていない。
患者は自由に建物の外に出ることができない。
内側から鍵がかけられないどころか扉の内側にはノブもレバーもなく、外側から鍵をかける部屋、つまり隔離室がある。
患者を外の世界と隔絶する部屋。
隔離室。
室中には、トイレとベッドしかないのが基本的。
保護室ともいう。
患者を保護する部屋。
幻覚、妄想状態にある患者を、外的な刺激から、守る部屋。
クワイエット・ルーム。
静かな、穏やかな部屋。
治療上、必要だとされる合法的な監禁部屋。
悲鳴や怒声、ぶつぶつという独語、泣き声、物音などがあちらこちらから聴こえ、とてもクワイエット・ルームとは呼べない状況下に陥ることもある。
精神医療が元来意図した「静かで穏やか環境を患者へ」というコンセプトは、あらゆる面で破綻している場合が多い。
保護される場所のはずなのに、初めての患者は大抵その部屋に入ることを嫌がり、時に抵抗し、時に暴れまわる。
クワイエット・ルームでも、保護室でもない。
隔離室。
本来のクワイエット・ルームという環境をせめて提供したい。


身体拘束。
合法的に人間をベッドにくくることができる精神科医療の切り札。
医師も看護師も、ベッドに縛り付けることがその人のためになると、少しは本気で思ってやらないと、心が折れそうになる。
人間をベッドに縛り付ける行為を、認める法律があることを、みなさんはご存じだろうか?
どんな精神状態であろうと、どんなにふらついて具合が悪くても、興奮状態だろうと、自分を傷つけてしまっても、縛られるのは、あまりにもつらい。
自分のあらゆる行動が制限される。
そこまでして誰かに守られる意味があるのか?
いいことばかりじゃないけれど、嫌なことがあったそのきっかけは何なのか?
縛られて、自分を見つめ直す時間を、人は得るのだろうか?


こんな映画は大袈裟な一方的な側面だと思うか?
偏見を助長させる映画だとは思わなくても、
僕の文章は、偏見を助長させる文章だとお思いか?
ルールに縛られて融通が効かなくなり、サービスを提供する意識すら持てなくなった精神科医療は、リアルにこの映画そのまんまだ。
医師も看護師も入院患者も、大袈裟な誇張なく、リアルにそのまんまだ。
リアリティの在り方ではなく、
素直に精神科医療を捉えていることがわかり、
僕のような一方的で批判的な目を向けず、
機知に富んだ展開で、
大爆笑をもたらしたかと思えば、
深い感動を胸に残す。
この映画は傑作だ。
そして、このレビューをここまで読んでくれたあなた。
少しでも興味をお持ちなら、

クワイエットルームにようこそ。
精神科の扉は、あなたが思っているよりも、いとも簡単に、その扉を開く。
そして、出るための扉は、なかなか開くことがない。


BS CINEMA THEATER

詳細評価

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