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不完全なふたり (2005)

UN COUPLE PARFAIT

監督
諏訪敦彦
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3.35 / 評価:37件

解説

『パリ、ジュテーム』の諏訪敦彦監督が、ある男女の愛をオール・パリロケ&全編フランス語で作り上げた大人の恋愛映画。愛し合いながらも相手を傷つけずにはいられないカップルの深い孤独をえぐり出す。主演は『ふたりの5つの分かれ路』のヴァレリア・ブルーニ・テデスキと、『情痴 アヴァンチュール』のブリュノ・トデスキーニ。ほぼ即興で演じられたという二人の実力派俳優によるリアルな表情やしぐさに圧倒される。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

マリー(ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ)とニコラ(ブリュノ・トデスキーニ)は、友人の結婚式に出るためにリスボンからパリにやって来る。結婚して15年の彼らの仲は冷めきっており、ホテルでもエキストラベッドを頼んで別々に寝るほどだ。友人との夕食の席で、夫が離婚話を持ち出したことからさらに二人の間は険悪になる。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

「不完全なふたり」精鋭たちの集中力が生み出した奇跡

 フランスの映画人に絶大な人気を誇る諏訪敦彦が、パリを舞台にフランス人キャスト、スタッフで撮った意欲作。今回もシノプシスを元に即興スタイルで男女の深い絆を描き出している。

 諏訪作品は少しずつ変化する微妙な心の動きを、台詞そのものではなく、台詞や登場人物を包む時間で表現する。遅い午後、陽が沈んだ直後、夜と深夜の間……、そこで生まれる沈黙、消えていく思い。天才的な灯りの捉え方で、時間独特の空気を映し出すことのできる撮影監督キャロリーヌ・シャンプティエは、まさに彼にぴったりの共犯者である。

 物語は、結婚15年の夫婦がパリへやって来るところから始まる。ホテルへ向かう車は最初の赤信号を無視し、次の赤信号では止まる、まるで別れようとしている2人を表すかのように。夫はパリへ着いた頃から風邪気味だが、どれほど多くの人に会おうとも、結局いつのまにか咳をしているのは他でもない妻である。2人の心が離れていても、夫婦は同じ時間と空間を共有しているのだ。その意味と重みを、俳優たちは何気ない“咳”ひとつで表し、監督はデリケートな一瞬を注意深くすくい上げる。

 即興は作り出すのではなく、見つけ出すもの。監督と俳優が一緒に作品の内側へダイブし、共感の中から城を築く。もし俳優が印象的な言葉を作り出そうとしたならたちまち城は崩れ、そのウソは簡単に観客に見破られてしまう。このさりげない夫婦の心の軌跡は、精鋭たちがとてつもない集中力で生み出した奇跡なのである。(木村満里子)

映画.com(外部リンク)

2007年6月29日 更新

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