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ミルコのひかり
2007年9月8日公開

ミルコのひかり

ROSSO COME IL CIELO

1002007年9月8日公開

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4.0

ネタバレ「言葉と音楽と映画と」

 イタリア映画界屈指のサウンド・デザイナーである、 ミルコ・メンカッチ氏の実話に基づく心温まる作品。  舞台は1969年、イタリアトスカーナ地方およびジェノバ。 銃の暴発という不慮の事故により視覚を失い、心閉ざされた少年が 全寮制の盲学校でオープンリール式のテープレコーダーに 出会うことによって、聴覚に対して非凡な才能を見出していき・・。  作品もさることながら、ストーリーに沿って流れる音楽と 主人公が「創作」した音にも耳を傾けてほしいと思う。  「言葉(イタリー語だが・・)と音楽だけで映画は分かるものだ。」 確かにそういうこともあるかもしれない。  以下、印象の残った音および音楽を思いつくままに挙げてみたので 参考にして頂ければと思う。 ---------------------------------------------------------------- ?映画冒頭、高弦で奏でられた音の中を「背景」に穏やかな郷愁?  誘う木管のメロディが流れ、カメラが場面を俯瞰していく。 ?病院で主人公の父親が医師から全寮制の盲学校に行くことを  宣告される辺りで流れるミュージック。  不安感をあおり、しかも途中で消え入る・・。 ?主人公とガールフレンドが盲学校を抜け出し、自転車で  走るところ。いたずらっぽい子供の心の動きを木管の  メロディがよく表している。 ?「季節を感じる作文」および学芸会で使われた音の作品。  唇を震わせ蜂の飛ぶ音を体現したり、瓶の口を吹くことにより  風の表現をしたり、製鉄所での高炉の音の収集したり等々。  自然の音と創作音を録音する主人公に感性が光る。 ?主人公がトスカーナに戻る際に流れる音楽は、  作品冒頭で流れた音楽のオーケストラ編成に戻すことにより、  主人公が視覚を失う前の心を取り戻したことを  表現しているのは「収まり」よく仕上がっていると思う。 ----------------------------------------------------------------  エンドロールで一瞬の休止があった後、 ピアノを主体とした音楽に変わるところなど特に良かった。 ふっと心を弛緩させるような・・・。 これもメンカッチ氏の助言なのかしらと思いつつ、 久々に心の平安を取り戻し、映画館を後にしたのでした。

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